DuPont™ CORIAN® NEWS

vol.03

vol.03 全国から南房総へ 人気病院の建築デザイン[亀田総合病院]

2012.12.12

コーリアン®と光がおりなす中性的な存在感

「実は今回のお話は建築が先行していたため、現状の条件の中で、何ができるかということを考えました」と、カーテンウォールのデザインを手がけた有限会社テラダデザイン一級建築士事務所の寺田尚樹氏。デザインに使える空間はサッシのガラス面とロールスクリーンの間の260mmのみ。当初はロールスクリーンにグラフィック処理を施すデザイン案もあったそうだが、「たとえ260mmの奥行きでも何か面白いことをしたい」というデザインチームの心意気により、風を受けて膨らんだヨットの帆を思わせる三角形のパーツが交互に並んだような、立体的な表現が提案されることになった。
素材に関しては、株式会社丹青社の松村氏の中では、早い段階でデュポン™コーリアン®が候補にあがっていたという。「海に面して立つ建物ですので、その環境に耐え得る素材で、ということは言われていました。すると、一般的な素材を防水処理したり、UVカットの塗装をするよりも、そのままで使えるコーリアン®のほうがデザイン的にもコスト的にも向いていると考えました」と松村氏。
「光による演出がテーマのひとつでしたので、パーツを湾曲させることで、光の陰影をより強調できるのではないかと考えました。コーリアン®は光も透けますし、曲げ加工にも向いている。曲げるというアイデアがでたところで、コーリアン®が最適な素材であると、確信しました」と寺田氏。

カーテンウォールの設計図書
カーテンウォールの設計図書

また、同設計事務所の平手健一氏は、「このアイデアを実現するためにいくつもの模型をつくり、実際に光を当ててみるなどして検討を重ねました。その結果、湾曲した三角形8つを交互に組み合わせてひとつのパネルとするデザインの採用に至りました」と語る。
完成したカーテンウォールには、昼間は外の光に照らされて明るく輝き、夕方から夜にかけては室内側の光がほんのりと透け、夜間はパネルに仕込まれたLEDライトによって三角形の輪郭がくっきりと浮かびあがるというように、見る時間によって表情が変わるという効果的な演出が生まれた。「僕としては、いかにもステンレスというような、素材のキャラクターが全面にでるものではなく、光の陰影とか透け感が素直に目に入ってくるような、主張をしない素材、存在感が中性的というところでも、コーリアン®はよいと思いました」と寺田氏。松村氏は、「照明デザイナーの方に入っていただいて、パネルの上と下に特注のLEDの照明をライン状にいれています。ちょうど、垂直に走る光のビームを、コーリアン®のパーツで前後から挟んでいる状態です」と話す。点光源のLEDでも帆の形を面で光らせることができるよう、照明器具は特別なレンズをつかって角度調整ができるものを、今回のために製作。さらに、各階ごとにサイズの違うパネルを、すべて同じように光らせるため、現場で光の屈折を変えるなどして調整を重ねたという。

室内の照明が全て消灯されても、カーテンウォールの上品なあずき色の光が、L棟を優しく照らす
室内の照明が全て消灯されても、カーテンウォールの上品なあずき色の光が、L棟を優しく照らす

「清潔感のある光がほんのり透けていているような演出をしたかったので、LEDライトとコーリアン®の組み合わせは非常に相性がよかったと思います」と寺田氏。
こうしたデザイン&施工チームの努力の積み重ねで完成したカーテンウォールの仕上がりを、亀田院長も「光がついているときはどちらかというとシャープな印象で、室内の灯が全部消えると、LEDの光が際立って、温かみのある色に変わっていくのですが、どちらも気に入っています」と高く評価している。

独特の素材感や色合いが注目されることも多いコーリアン®だが、亀田総合病院のカーテンウォールは、ライティングによってコーリアン®の色を変化させ、また、光を透すことで見る人に素材の厚みや重さを感じさせない作品となった。そのように素材としての個性を表に出さず、デザイナーの希望する表現を見事に実現したコーリアン®の魅力を、寺田氏は「中性的な存在感」と語った。今回の事例は、シームレス接着や曲げ加工といった特性に加え、光と組み合わせることで、さらに幅広いデザイン表現を具現化する、コーリアン®の新しい可能性を示してくれた。

亀田総合病院 新A棟

所在地:千葉県鴨川市東町929番地
ウェブサイト:http://www.kameda.com/
耐震構:CFT造10階建て

竣工:2012年8月
基本設計:アーキテクツハワイ
実施設計:一級建築士事務所モノリス、株式会社フジタ一級建築士事務所

[連絡棟・新A棟装飾工事]
◎施工
建築工事:株式会社フジタ
連絡棟・新A棟装飾工事:株式会社丹青社
◎設計
デザインディレクション:株式会社丹青社 松村磨
グラフィック・アートディレクション:有限会社テラダデザイン一級建築士事務所 寺田尚樹、平手健一
照明設計:岡安泉照明設計事務所 岡安泉

松村磨 寺田尚樹 平手健一

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デュポン コーリアン®

1965年、米国デュポン社の研究・開発によって生まれたデュポン コーリアン®は、それまで木や金属、タイル、天然石などに限られていた、建築・インテリア分野の新しい素材として世界中で大きな反響を集めました。それから約40年、今では全世界130カ国の人々に愛され、なくてはならない素材として高い信頼をいただいています。
http://www.dupont-corian.net/

“CORIAN”、「コーリアン」は、米国デュポン社の登録商標です。