デザイナーのこれからのキャリア

デザイナーのこれからのキャリア
第1回:バスキュール代表/クリエイティブディレクター 朴正義氏

2014/12/24 UPDATE

Vol.3デザイナーの“キャップ”の外し方
「誰かのアイディアに乗っかって、まずは試してみる」

朴正義氏 (6)

― 表現の幅を広げられない、いわゆる“キャップを外せない”デザイナーに対して、朴さんならどうアドバイスしますか?

朴 : BAPA』※などもそのための活動なんですが、行き詰まっているのに、一人でボールをもって考えこんで足を止めてちゃダメですよね。ドン詰まったら、誰か他の人のやりたいことに乗っかってみたらどうかな。エンジニアの中には、アプリで一発当ててやろうとか思っている人だっている。彼らの展開するゲームに乗っかって、今までにないデザインのオーダーを受けてみることをキッカケにしたらどうでしょう。

ネットの良いところは、それがサクッとできるところ。CGだったら成果がみえるまで、半年かかるかもしれないけれど、ネットだとすぐに成果がわかるから、チャレンジしやすい環境だと思いますよ。

BAPA(Both Art and Programming Academy)
「バスキュール」とクリエイティブ・ラボ「PARTY」が主催するクリエイターのための学校

― バスキュールに入ってくる新人デザイナーも、そのような形で経験を積むんでしょうか?

朴 : まずは現場に浸かってもらって、リリースにたどり着くまで、どんな作業があるのかを肌でを感じてもらって、その次につなげるといった感じが多いかな。ウチの仕事は、クライアントからお金をもらっているのに僕らが好き勝手にやれるものが多いから、チャレンジはいろいろとできるんです。もし失敗しても、僕の目を通している限り、最終的に悪いのは僕になるので、どんどん提案してきてほしい(笑)。

デザイン業界全体を見たら、20世紀末にネットが普及して以来、ここ20年は、歴史に残るような変革期ですよね。楽な道ではないけれど、わざわざデザインという答えのない仕事を選ぶのであれば、時代の波を感じられる場所にいたほうが楽しいと思う。

宇宙と未来のニューヒーローを目指すバスキュールのWEBサイト
宇宙と未来のニューヒーローを目指すバスキュールのWEBサイト
デザインとプログラミングスキルを併せ持った次世代のクリエイターを育成するBAPA
デザインとプログラミングスキルを併せ持った次世代のクリエイターを育成するBAPA

今はデザイナーより、アーティストが大変な時代。Twitter、LINE、YouTube、Instagram、Vine、ニコ生。誰もが己の衝動をアウトプットできる時代になってしまった。音楽でも絵画でも、今は昔のものや海外のものにすぐにアクセスできてしまう。現代のアート作品は、過去の名作とも、海外とも、一般大衆とも、勝負しなくちゃいけない。デジタル領域に踏み込むかどうかは別にして、デザインもアートも、今はそういう時代なんだ、って直視した上で取り組んでいくことが大切なんじゃないかな。

小島幸代(株式会社ベンチ 代表取締役)

インタビューアー
小島幸代(株式会社ベンチ 代表取締役)

美大でデザインを学んだ後、米国法人リクルーティングエージェンシーにてクリエイティブに特化した採用を8年経験。クリエイティブフィールドで戦うプレイヤーをベンチサイドから様々な角度でサポートしたいという思いから2012年に株式会社ベンチを設立。キャリアコーチングは国内外1.000名以上、雇用契約は400件以上にのぼる。近年は企業のクリエイター採用におけるブランディング、手法のコンサルに従事している。BAPA 運営、TWDW主催。

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