Niessing日本上陸30周年記念 スペシャルインタビュー
ニーシングジュエリーをめぐる
4組のクリエイティブなストーリー
2014/07/16 UPDATE
バウハウスのフィロソフィーに基づき、Niessingが生み出してきたプロダクトデザインの傑作達。建築家やグラフィックデザイナーなど、他分野で活躍するクリエイター達の目に、Niessingのジュエリーはどう映っているのだろうか。今回、4組のクリエイティブに携わる方々にNiessingへの想いを聞いた。
Vol.2グラフィックデザイナー・おおうち おさむ × Fontana
書籍の装丁を中心に、グラフィックデザインやアートディレクションで活躍するおおうち おさむ氏。Niessingのリング「Fontana(フォンタナ)」を愛用するおおうち氏に、実際に身に着けることで感じるNiessingの魅力を聞いた。
―フォンタナを愛用されているとのことですが、どんな出会いだったのでしょうか
おおうち:友人からNiessingの存在を聞き、そのフィロソフィーや代表的な作品であるNiessingセッティングのデザイン性や構造に興味を持ちはじめました。ある時たまたまお店に立ち寄り、出会ったのがフォンタナです。学生の頃、ルチオ・フォンタナの作品を参考にしていたので、その特徴をつかんだリングのデザインにビビッときて、衝動買いでした(笑)。
―実際に身に着けてみて、どんな感想をお持ちになりましたか
おおうち:ルチオ・フォンタナはイタリアの抽象画家で、広いキャンパスに1本の切れ目を配しただけの極々シンプルな作品が有名です。単純な中に存在する張りつめた緊張感を、このリングと出会った時にも感じました。それから、ダイヤモンドを爪で留めるのではなく、テンション(張力)で留めている点にも興味をもちました。神社仏閣の建築では、釘を使わず組み木で構造を成立させていますが、その方が状態を長持ちさせるのに優れているという説があります。素材の特性を生かし成り立たせるという手法は、Niessingのテンションリングにも見ることができますよね。
―ジュエリーに対して、元々興味をお持ちだったんですか
おおうち:実はまったく興味がなかったので、自分でも意外な買い物でした。ただ、どうせ身につけるなら意味のあるモノを持ちたいという思いはありましたね。だから、未だに所有しているジュエリーはフォンタナだけですよ。とはいえ、金属という素材には昔から興味を持っていました。とくにサテン仕上げなどのマットな質感が好きで、事務所のテーブルや内装にも多用しています。金属って一般的には光沢の強いイメージだと思いますが、マットにすることで金属なのに柔らかさを感じたり、本来のイメージを誤解させる面白さが生まれます。このフォンタナの質感などは、まさにそれですね。
―Niessing全体については、どんな印象を持っていますか
おおうち:Niessingのリングってシルエット自体は実にシンプルですが、厚みや質感や金属の特性を駆使することで、他にはないデザインを完成させています。装飾性に頼ったデザインじゃないから、時代を経ても古くさくならないし、持っているリングが例え人と被っても嫌じゃないんですよね。それってジュエリーブランドでは希有なことだと思います。
―そうしたNiessingの特徴は、ご自身のクリエイションとシンクロする部分がありますか
おおうち:僕は、今まで存在しなかったものを作り出すことだけが、クリエイティブではないと思っています。既製のものでも、視点を変えたり進歩する技術を組み合わせることで、それまで見えていなかったものが見えてきます。このフォンタナも、パッと見ただけだと普通に見えますよね。でも紐解いてみると、ダイヤを固定する理想のテンション(張力)を実現するために、とてつもない工夫が隠れているのがわかります。そういった奥深さは、創造する側の人間にとって大いに刺激を与えてくれます。
―ジュエリーデザインを自ら手掛けてみたいと思いますか
おおうち:興味はすごくあります。ジュエリーデザインのプロフェッショナルではないからこその面白さが出せるのではないかと。ジュエリーデザインとグラフィックデザインは平面と立体でかけ離れているように思われるかも知れませんが、例えば厚みがある書籍の装丁は立体物として捉えていますし、そういう意味では通じるところはあると思います。でも、別に平面の感覚のままで取り組んでも、それはそれで面白いことができると思いますけどね。
―フォンタナはおおうちさんにとってどんなアイテムですか
おおうち:僕はフォンタナを左手の小指につけているんですが、小指につけるリングって、チャンスを呼び寄せるとか、出会いが増えるとか、昔から言われていますよね。実はフォンタナを購入した時、丁度仕事のことで悩んでいた時期で、それが、購入してからは途端に順調になりはじめたんです。それでなんとなく自分の中でもジンクスになって、プレゼンの時など、ここぞという時には必ず身に着けていくようにしています。フォンタナは僕にとってとても特別なジュエリーですね。
おおうち おさむ ouchi osamu
1971年千葉県生まれ。多摩美術大学グラフィックデザイン科卒業後、田中一光デザイン室にて勤務。2002年に独立し、2003年にナノナノグラフィックスを設立する。小説や写真集、美術書まで様々な書籍の装丁の他、C.I、V.Iの構築や、写真展・美術展のアートディレクションなども手掛ける。
Vol.3:プロダクトデザイナー・森澤有人×Aura
グラフィックデザイナー・おおうち おさむ × Fontana
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