ベルリンで生まれた
世界初のシートメタルアイウェアブランド「ic! berlin」
2014/06/18 UPDATE
Vol.1do you know ic! berlin
実用品からファッションアイテムへ。ここ10年で、日本における眼鏡に対するパブリックイメージは大きな変化を遂げた。眼鏡人口の増加と共にスタイルは細分化され、その結果新しいブランドが次々と台頭。そして、デザインのバリエーションは飛躍的に広がっていった。そんな中にあって、類を見ない革新性でひと際異彩を放っているブランドがある。それが、シートメタルを世界で初めて眼鏡に採用したブランドic! berlinだ。
1997年に、ハラルド・ゴシュリング氏、フィリップ・ハフマンズ氏、ラルフ・アンダール氏の3人によりドイツのベルリンで設立。医療器具などで使われるステンレス合金版を眼鏡のフレームに型抜きする製法を開発し、アイウェアマーケットに大きなインパクトを与えた。シートメタルの特性は、まず軽量性に優れている点が挙げられる。ステンレス合金板の厚みが0.5mmと聞けば、その軽さは容易にイメージできるだろう。しかも、通常の眼鏡では金属ネジの使用が不可欠だが、独自に開発したはめ込み式&板バネ構造により、金属ネジやロウ付けの使用を一切排除することに成功。これにより工具なしで分解・組み立てが可能になるほど構造が単純化され、軽量性をより高めると共に故障リスクを大幅に軽減することが可能になったのだ。
単に目新しさだけに訴えたアイデアなら、この百花繚乱の眼鏡シーンにおいて珍しくもなんともないが、デザイン性と構造的なメリットがきちんとクロスオーバーされたアイデアとなるとそうは見当たらない。この辺り、ドイツ生まれのブランドらしい“形態は機能に従う”というバウハウスフィロソフィーの影響が垣間見られる。
ic! berlinのファーストコレクションは、1998年の国際眼鏡展示会「SILMO」で金賞を獲得。翌年にはミラノの国際眼鏡見本市「MIDO」で、ここ日本でもアジア最大級の国際メガネ展「IOFT」でグラス オブ イヤーを受賞するなど、ブランド創設以来17年連続で、毎年数々の国際デザインアワードに輝き続けている。眼鏡業界では比較的若いブランドにも関わらず、既にトレンドに左右されない不動の地位を築いている背景には、製品の独自性が寄与するのはもちろん、創業者のひとりであるラルフ・アンダール氏のカリスマ性も欠かせない要素だろう。