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2008 ミラノサローネ速報
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【 秋元淳 】 ミラノサローネ速報



ハイテクノロジーと表裏一体のこれら領域に対して、喜多俊之氏の手がけた新しいネイルケア用品や著名な料理人の名を冠した包丁などを出展した貝印、深澤直人氏の力を得た「デザイン・シヤチハタ」を見事なトータリティで示したシヤチハタなどのデザインは、長い時間をかけて築かれた人ともの・企業ブランドとの関係をさらに深化させるものだと言えるだろう。

トヨタのi-REALは同社が研究を進めるパーソナルモビリティの最新バージョンである。前モデルのi-unitよりも省スペース化が図られつつ、ドライバーへの刺激も加味された個人の移動のための新提案として関心を集めていた。

さらに、大型液晶テレビをコアに映像を愉しむライフスタイルを演出するラックのプロトタイプを出展したビクター、 自由度の高い空間設計のマンションSTYIMを印象的なオブジェにしたアスコットのように空間性をメインテーマにした展示もあれば、 話題の薄型テレビWoooをベースにマジカルな映像美をインタラクティブに伝えた日立、 カットモデルで特徴ある水流を見せたTOTOのネオレスト、 グッドデザイン金賞に輝くITOKIのオフィスチェア「スピーナ」に来場者が次々と腰掛けてそのメカニズムを実感するなど、 会場には実に多くの発見や提案性が満ちていたように思えた。





KITA's グルーミングキット(仮称/貝印)

ネームペン SIGN(シヤチハタ)


i-REAL(トヨタ自動車)


液晶テレビ WoooUT(日立製作所)


スピーナ(イトーキ)


ネオレスト ハイブリッド(TOTO)




日本企業の手がけるデザインは、たえず発展するテクノロジーをユーザーの立場に立った細やかさを伴って製品やサービスへと還元することに特徴がある。
今回の企画を通じて、そこからさらに前に一歩進んだデザイン、すなわちユーザーの意志や行為そのものを新しいフェーズに自然に導く(=イノベートする)ような、ある種の誘引力を備えたデザインが確実に増えていると感じた。捨てることが当たり前だった電池に対して、繰り返し使うというアクションをナチュラルに呼び覚ますようなエネループユニバースなどに、そうしたデザインの力が端的に表されている。
それは、人びとが積極的に信頼を寄せ、主体的に選ぶに値するデザイン。その人自身の生き方を充実させるに足る訴求力と提唱力をもった骨太なデザインであり、浅薄なブランド性の発揮や儚い新規性に根ざすコミュニケートにプライオリティを置く姿勢と対極にあるデザインと言えるだろう。

現地で聞いた話では、ミラノではこの数年で特に日本文化への関心が高まってきているとのことだ。今回の来場者の多くが、日本のデザインということにまず関心を持って私たちの会場を訪ねてくれたとして、実際にそこで各社のデザインと接する中から、新しい方向へと進み出そうとする世界の人びとに寄り添うジャパンデザインの価値を少しでも見出してくれたらと思う。













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