変なホテル

ロボットが出迎えてくれる、「生産効率の向上」を目指したホテル

デザインコンセプト
担当:ハウステンボス株式会社

ハウステンボス内にある「変なホテル」は、ロボットや再生エネルギーを用い、快適性と生産性を両立させた、まったく新しいカテゴリーのホテルです。ホテルの名称は「常に変化する世の中に対してこのホテル自身も常に変化することを約束する」という思いを込めて名付けられました。

ハウステンボスは、1992年に「環境未来都市」を目指して開業。園内には水や電力、ゴミのリサイクルシステムなどを完備し、現在も自然の生態系を守るために挑戦を続けています。

そんなハウステンボスに新しく開業するホテルは、環境に配慮した建築や設備であるべきだと考えました。その一方で、リーズナブルでありながら快適で、さらに訪れる楽しみのような仕掛けもつくりたいという思いもありました。それらすべてを実現するために目指したのは「生産効率の向上」です。これまで当たり前と思われていたホテルの設備やサービスをひとつひとつ見直し、メインスタッフがロボットという、先進技術を駆使した世界初となる新しいホテルを考えました。

フロントでは多言語対応のロボットたちがチェックイン・チェックアウトの手続きを行い、クロークではロボットアームが荷物を預かり、手荷物はポーターロボットが部屋まで運んでくれます(イーストアームA棟のみ)。さらに、顔認証システムを採用しているため、キーレスで滞在可能。

施設は大きくイーストアームとウエストアームに分かれ、コンセプトもそれぞれちがっています。

【イーストアームコンセプト】
環境との共生を目的に、空調にはエネルギー効率に優れた最新の「輻射(ふくしゃ)パネル」を採用。このパネルはエアコンのように乾燥しないのが特徴で、暑い時は体温から直接熱を奪うことで涼しさを感じさせ、寒い時は体温から奪われる熱を抑え暖かさを感じさせます。一般の冷暖房よりも温度差が少なく、オールシーズン快適に過ごせる設計。

【ウエストアームコンセプト】
オランダ語で「森の家」を意味する「ハウステンボス」の名前から発想し、木のぬくもりと落ち着きのある空間を演出しました。シックでモダンなインテリアの数々に、新しい木質構造材CLTを日本のホテルで初採用し、太陽光パネルの採用や水素エネルギーシステムなど、環境に配慮した最新鋭の技術を導入しています。滞在にあたって機能性を高めました。

所在地 長崎県佐世保市ハウステンボス町6-5
敷地面積 10,188.92m2(イーストアーム)、6,269m2(ウエストアーム)
述床面積 3,541.16m2(イーストアーム)、1,989.71m2(ウエストアーム)
階数 地上2階建
客室数 ともに72室
構造 鉄骨造(EAST ARM)、木造(CLT工法)一部S造 (ウエストアーム)
工事期間 2015年1月上旬~6月末(イーストアーム)、2015年8月上旬~2016年2月末(ウエストアーム)
設計 東京大学生産技術研究所川添研究室(イーストアーム)、KAJIMADESIGN(ウエストアーム)
設計協力 株式会社日大設計(イーストアーム)、住友林業株式会社(ウエストアーム)
施工 株式会社梅村組(イーストアーム)、鹿島建設株式会社九州支店(ウエストアーム)
撮影 提供 ハウステンボス