- デザインコンセプト
- 担当:芦澤竜一建築設計事務所
宇都宮の新興住宅地における家族5人が住む住宅の計画。宇都宮は寒暖の差が大きい内陸性気候のため、冷暖房などのエネルギー消費が多い傾向となっている。そこで、環境や季節などのさまざまな現象を利用することでエネルギー消費を抑え、自然に負荷をかけずに快適に過ごすことができる環境を考えた。
敷地は95坪ほどの角地にあるため、角地ならではの建ち方、住宅内での自然エネルギーの取り込み方、外部空間のつくり方をパラレルに検討していった。5人の家族、特に家に滞在する時間の長い夫人の行動パターンをリサーチし、空間内に流動する光や風、熱を考慮して、X型の平屋の建築の形態を導いた。
X型の中央の南北軸に家族が集まる居間や食堂・書斎といった共用スペースを配置し、その周囲に寝室、子供室、収納、洗面室など諸機能室を配置した。居間と食堂の間にある、東西を横断する道路から連続する路地空間は、全面ポリカーボネートの引戸により外内の関係を曖昧にしている。南側の居間は太陽光による冬場の集熱装置として考え、冬至の10時から15時までの太陽光の入射角度によって壁の角度と床の奥行きを決定した。昼間は可動間仕切りを閉め居間の土間床で蓄熱し、日没後に建具を開放してその熱を各居室に送る。夏場には、南から吹いてくる風を全開放できる開口部から室内に取り込み、北側の庭へ抜けていくように計画した。また、ハの字型の流出側を絞る平面形態によって、室内の風速を上げるなど微気候をつくることを考えた。
宇都宮は山地・丘陵地を覆う森林と、鬼怒川をはじめとした河川の水面および沿岸の植生が、比較的大きな連続した地形を形成し、生物生息の重要な拠点となっている。ゆえに住宅地として開発されているこの地域もまた、緑で繋がるネットワークで結びたい。X型の平面によって生まれる敷地内の庭は、これから建築主の手によって徐々に育てられていくだろう。ひとつの住宅が、生物たちの移動空間を確保しながら、豊かな生態系を育くむことに寄与してほしいと考えている。
設計 | 芦澤竜一建築設計事務所 |
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所在地 | 栃木県宇都宮市 |
主要用途 | 専用住宅(夫婦+子供2人) |
構造 | TAPS建築構造計画事務所 |
構造・構法 | 木造在来工法 |
階数 | 地上1階 |
敷地面積 | 313.3m2 |
建築面積 | 132.66m2 |
延床面積 | 96.83m2 |
撮影 | kaori ichikawa |