Fikafabriken

45°内側に引き込んだファサードが、街とのシームレスな繋がりを生んだ洋菓子店

デザインコンセプト
担当:中島康一朗+植木優行/small scale projects

「Fikafabriken(フィーカファブリーケン)」は、東京・世田谷区豪徳寺の商店街にある、スウェーデンを中心とした北欧菓子店。店の名前はスウェーデン語で、直訳すると「お茶の時間工場」。

「FIKA(フィーカ)」とはコーヒーブレイクのことで、コーヒーやお菓子をつまみながら、人と仲良くなる「きっかけ」を与えてくれるスウェーデンに欠かせない文化を意味している。

人通りも多く活発な駅前の商店街沿いであるにもかかわらず、既存店舗は通りから奥まった場所にあり、周囲から認識されにくい立地だった。今回の計画は、既存店舗の構成や内装を変更することなく、新規増床部分のアプローチのみによって、商店街からのアクセスおよび店舗と街との関係性を再構成した。

既存店舗のおもな設備は、製造キッチンと売り場、そして最大8席のイートインスペースだった。増床された新規店舗には、テイクアウトしやすいよう商店街に面した販売カウンターを設け、その延長上にバーカウンター席を配置。これにより、通り沿いからの直接的な動線を確保しつつ、既存店舗と新規店舗の機能に重複がないよう配慮した。

(左)改修前(右)改修後

(左)改修前(右)改修後

通りに面した販売カウンターと店舗入口は、外壁全体を道路から45°内側に引き込むことで、街から店内までを連続した空間として演出している。また、扉の全面にH2500×W1800mmの透明ガラスを採用することで、閉鎖時にもオープンな印象を与えるファサードを構成。ガラス扉を開放すれば、街とのシームレスな繋がりをつくり出すことができる。45°のファサードは、季節や人の移ろいに合わせて表情を変え、お菓子を愉しむ時間を街と共有する。

Fikafabriken

所在地 東京都世田谷区豪徳寺1-22-3
設計 中島康一朗+植木優行/small scale projects
用途 北欧菓子製造・販売
延床面積 50m2(既存店舗・ 新規店舗併用)
開業日 2019年2月
グラフィックデザイン Banana Yamamoto
撮影 河田弘樹