BRIDGE TERMINAL-ソニーシティ大崎(NBF大崎ビル)

「ターミナル」を想起させる、社内用コワーキングスペース

デザインコンセプト
担当:noiz

「BRIDGE TERMINAL」は、NBF大崎ビル(旧ソニーシティ大崎)最上階の一画に設けられた、社内用コワーキングスペースです。企画の立案からプログラムの策定、実際の管理運営まで、部署を超えて集まったソニー有志社員によっておこなわれ、専門領域を横断した協働やイノベーションの創出を目的にした自由な共創空間になります。

羽田空港の滑走路の軸線上に建ち、眼下に大崎操車場を見渡すこの場からは、ダイナミックな都市の脈動を感じることができます。新たな場に求められたコミュニケーションやネットワークの結合や起点という意味付けも含めて、「ターミナル」をコンセプトとして空間づくりをおこないました。

空間を対角線状に横断する「ランウェイ」と、その先に「ステージ」を設け、建物がもつ既存の直行グリッドに対し、新たな軸線を導入しました。均質なオフィス空間の中にこのような異物を挿入することで、ファッションショーやヨガ教室、スポーツ観戦といった、非日常的で予想外の使い方・思いがけない交流が生まれることを目指しました。ランウェイの客席となる可動のスタンドを設け、ハレとケの多様な場面に対応します。

高い可変性や将来への展開性を確保するため、自由にモノが吊り下げられる格子天井を「ランウェイ」によって切り取られた残余の部分に設置。また、家具什器を単純な組み合せで有機的に拡張できるシステムとし、使いながら変化・発展していくデザインにしています。限られた予算の中で、一部家具の制作と壁面の塗装などは、有志のDIYワークショップの中でおこなわれました。

オープンスペースのほかに、3Dプリンターやレーザーカッター、電子工作機器、工具を利用できるメーカールーム、自社製品のテストをするために住空間を再現した検証室も新しく整備され、さまざまな可能性を試行する社内に開かれた場として、今なお変化し続けています。

所在地 東京都品川区大崎2-10‐1 NBF大崎ビル24F
建主 ソニー株式会社
設計 豊田啓介、酒井康介、岡本空己、永野航、飯澤元哉/noiz
施工 デザインアートセンター
延床面積 457m2
設計期間 2016年3月~7月
施工期間 2016年7月~8月
撮影 高木康広