アパートメント・ハウス

アパートを一戸建て住宅にした、キュビズム絵画のような家

デザインコンセプト
担当:河内一泰/河内建築設計事務所

郊外に建つ築25年の木造2階建アパートを、一戸建住宅にリノベーションした建築である。8戸に分割されていた既存アパートの壁や床に穴をあけ、4人家族が住む一戸建ての住宅にした。

住宅にはたくさんの部屋が必要で、空間を分割する必要がある。しかし、完全に分割してしまうと空間は小さくなり、他の場所との関係が断たれてしまう。かといって空間をつないでワンルームにしていくと、個々の場所の固有性がうすくなり、均質化してしまう。この建築では、分割と接続を両立させながら、たくさんの部屋があると同時に、たくさんの場所が見える「高密度な風景」をつくろうと試みた。

既存アパートの壁や床によって分割されたグリッドの空間から、三角形や四角形を抜き取り、4色を使って隣り合う図形を塗り分けた。その結果、たくさんの部屋の切断面が集まった、パッチワークのような風景があらわれる。キュビズム(立体派)の画家が複数の奥行きや時間をキャンバスの中に混在させ、平面を立体化したように、建築の立体のなかに平面的な風景をつくることで、新しい奥行きをつくろうと試みた住宅である。

所在地 千葉県千葉市
設計 河内一泰/河内建築設計事務所
用途 個人住宅(リノベーション)
構造 木造
階数 地上2F
敷地面積 198.35m2
延床面積 177.31m2
設計期間 2012年9月~2013年10月
工事期間 2013年11月~2014年3月
撮影 阿野太一、河内一泰