音楽・アート・伝統・地域がクロスする音楽フェス「京都岡崎音楽祭 OKAZAKI LOOPS」。多彩な化学反応を生む2日間

音楽・アート・伝統・地域がクロスする音楽フェス「京都岡崎音楽祭 OKAZAKI LOOPS」。多彩な化学反応を生む2日間

音楽フェスと聞くと、夏の暑い時期や年末にバンドやアイドルが入れ代わり立ち代わり、パフォーマンスの限りを尽くすことを想像するが、京都発の音楽フェスは一味も二味もちがうイベントだ。

「京都岡崎音楽祭 OKAZAKI LOOPS(以降、OKAZAKI LOOPS)」は、音楽を中心にアートやパフォーマンス、伝統工芸、食などの多様なカルチャーが融合するという、これまでにない音楽フェス。テーマには“「×(クロス)」が生みだすクリエイティブの未来”を掲げている。2016年1月にリニューアルオープンしたロームシアター京都(旧:京都会館)をメイン会場とし、平安神宮が位置する岡崎エリアを舞台に9月3日と9月4日の2日間にわたって開催される。

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メイン会場となる、ロームシアター京都

イベントディレクターは、映画「おおかみこどもの雨と雪」や「バケモノの子」などの音楽を手がける高木正勝(音楽)、国内外で数多くの作品を発表する名和晃平(美術)、世界的現代振付家の作品に多く主演し、俳優としても活躍する首藤康之(ダンス)、世界的なブランドのファブリックにも使用される西陣織を手がける細尾真孝(伝統工芸)、京都市交響楽団常任指揮者の広上淳一(クラシック音楽)の5名。各分野の第一線で活躍するクリエイターたちが音楽祭を盛り立てる。

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(写真左から)細尾真孝、首藤康之、名和晃平、高木正勝

ディレクターの一人、高木正勝さんは「各分野の第一線で活躍されている方たちなので、このメンバーで打ち合わせをしていると自分が考えつかなかった話がたくさん出てきます。僕自身も、音楽フェスにいくつか出演したことがありますが、まったく違うイベントになる予感がしています」と、意気込みを語った。

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音楽フェスというと慌ただしいものが多いですが、OKAZAKI LOOPSは作り込んだものを一堂に持ってこれるのが新しいなと思う、と話す高木正勝さん

OKAZAKI LOOPSのロゴを手がけたのは、松倉早星さん(株式会社オバケ)と前田健治さん(mém)。すべてラインでつくられたロゴは、“モアレ”をモチーフにしており、距離感や角度によってちがった見え方になるという。色や形を固定しているわけではなく、webサイトやチケット、Tシャツなど、物に応じて変化していくようなロゴを目指したそうだ。

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OKAZAKI LOOPS ロゴ

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Tシャツやチケットなど、物に応じて変化するロゴ

舞台となる会場は、ロームシアター京都、平安神宮、みやこめっせ、岡崎公園、京都国立近代美術館、京都市美術館の6か所。まさにOKAZAKI LOOPSというイベントタイトルのように、岡崎エリアを回遊(ループ)しながら多様なジャンルを楽しめる。以下、開催されるイベントの一部をお伝えしたい。

LOOPS Opening

初日に行われるオープニングイベント。ピアノやアイヌ歌唱など多様な文化の音楽を融合させながら、現代の村祭りを舞台上に再現するような高木正勝のコンサート「大山咲み(おおやまえみ)」や、首藤康之と細尾真孝のコラボレーションによる新作演目など、オープニングに相応しい華やかな幕開けが予定される。

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ベルギーを拠点とするダンサー兼振付家のダミアン・ジャレによる新作パフォーマンス作品。舞台美術は名和晃平が担当する。彫刻と身体に対するアプローチを共有しながら創作を進めている演目で、個体と液体、エロスとタナトスなど、二元性の世界に漂う曖昧な境界線を探る実験的な作品。

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ALMA MUSIC BOX:死にゆく星の旋律 コンサート with 京都市交響楽団

史上最大規模の電波望遠鏡「アルマ望遠鏡」の観測データを使用したアート作品。アルマ望遠鏡がとらえた、死滅していく星の音をオルゴール化したもの。70枚のオルゴール盤から70種類の「死にゆく星のメロディ」が生まれ、そのメロディをもとに、蓮沼執太、mito(クラムボン)、高木正勝、スティーヴ・ジャンセンら国内外で活躍する11組のミュージシャンが楽曲を制作。当日は楽曲を京都市交響楽団が演奏し、壮大なスケールのコンサートとして世界初上演される。

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Perfumeのコンサート演出などを手がけるアーティスト・プログラマーの真鍋大度(ライゾマティクス)と工学博士の徳井直生が、彼らにとって馴染み深い音楽やDJカルチャーといった方面から人工知能にアプローチする試み。観客の会場の位置情報+観客のiPhoneに入っているプレイリスト、会場のセンサデータを使い、自動ミックスのアルゴリズムによって楽曲を生成し、人工知能がDJプレイをするというもので、これまで3回開催され、進化を遂げてきたイベント。

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パークプラザ

ロームシアターの中庭(パークプラザ)では、フードコーナーやマルシェ、屋外でのアコースティックライブなどもおこなわれる

ほかにも、ロームシアター京都ではミニコンサートや観客が参加できるダンスのワークショップや出演者によるトークイベント、フードコーナーやマルシェ、屋外でのアコースティックライブなどもおこなわれる。平安神宮では「朗読劇×夜の拝観」も開催されたりと、続々イベントが決定している。会期中さまざまな分野や人、文化がクロスすることで起こる化学反応を今から期待したい。

■京都岡崎音楽祭 OKAZAKI LOOPS
日時:2016年9月3日(土)・4日(日)※2日(金)は前夜祭を開催
会場:ロームシアター京都、平安神宮、みやこめっせ、岡崎公園、京都国立近代美術館、京都市美術館
http://www.okazaki-loops.com/