JDN編集部が選ぶ、2017年下半期のすてきな印刷物!

JDN編集部が選ぶ、2017年下半期のすてきな印刷物!

日々、JDN編集部に届く印刷物を紹介するシリーズ「JDN編集部が選ぶ、すてきな印刷物!」。少し遅くなってしまいましたが、今回は2017年の下半期に届いた中で、印象に残った印刷物を一部ご紹介します。

今回は、「届いてテンションが上がったもの」「加工が施されているもの」「色味の美しさ」の3点を基準に選んでみました!

髙田唯展「遊泳グラフィック」(展覧会フライヤー)2017年9月19日~10月19日

ロゴマークやサイン、広告、装丁などを数多く手がける髙田唯さん(ALL RIGHT GRAPHICS) 。クリエイションギャラリーG8で行われた個展のフライヤーには、4つの要素が含まれています。上から写真植字の文字、映像から抜き取った一瞬の花の写真、小林一毅さんによる「遊泳」の毒々しいほど強烈な文字、平山昌尚さんのとぼけた顔のイラスト。異なったグラフィック表現をひとつのフライヤーの中に構成しています。さらに、紙は縦長の変形サイズ。紙モノ好き、グラフィックデザイン好きにはたまらない表現のオンパレードなのではないでしょうか?

髙田唯展「遊泳グラフィック」

髙田唯展「遊泳グラフィック」表面

髙田唯展「遊泳グラフィック」裏

髙田唯展「遊泳グラフィック」裏面

あなただけのフチ子展(展示会フライヤー)2017年12月1日~12月18日

パルコミュージアムで開催された、「コップのフチ子」の展覧会。タイトルの“あなただけの”にかけたような、アイドル風のフライヤーが目を引きます。顔の形に切り抜かれた招待状は、お面のようにもなるのも気が利いています。コップのフチ子正式非公認広報の「コップのシキ子」のチェキ写真も、同封されていました。遊び心にあふれた一連の紙モノに心躍ります。アートディレクションは、いすたえこさん、たなかともみさんが担当。

あなただけのフチ子展

あなただけのフチ子展

「窓学展-窓から見える世界-」(展示会フライヤー)2017年9月28日~10月9日

スパイラルガーデンで開催された、YKK APによる「窓学展-窓から見える世界-」のフライヤー。ディレクションは、岡本健さんが担当。フライヤーに描かれたイラストと文字は、イタリアデザイン界の巨匠、ミケーレ・デ・ルッキのイラストが使われています。アカデミックな雰囲気を漂わせながらも、どこか参加しやすそうなイメージを伝えるグラフィックです。

窓学展-窓から見える世界-(展示会フライヤー)

窓学展-窓から見える世界-(展示会フライヤー)

静かに狂う眼差し-現代美術覚書(展示会フライヤー)2017年7月8日~8月27日

DIC川村記念美術館‏で開催された、収蔵作品を新たな視点で紹介する展覧会。フライヤーのメインビジュアルには、20世紀のアメリカの画家、ジャスパー・ジョーンズの「ハイスクールの日々」が使われました。もともとの作品はレリーフで、靴の先端に丸い鏡が付いています。フライヤーもキラリと光るこだわりの加工になっていました。ディレクションを担当したのは、矢嶋大祐さん。

【静かに狂う眼差し-現代美術覚書】

静かに狂う眼差し-現代美術覚書(展示会フライヤー)

【静かに狂う眼差し-現代美術覚書】

キラッと風景が写り込むような加工が施されていました

「Coci la elle」からのお知らせ(新聞、カタログなど)

ひがしちかさんの日傘ブランド「Coci la elle(コシラエル)」から届いた、秋の新作カタログ・白鳥の折り紙・傾けると傘が開閉するカード・スワン新聞のセット。封を開けた時に、思わず「わっ!」と嬉しさがこみあげてくる中身は、どのアイテムもコシラエルの世界観を感じさせる美しい仕上がりです。

【「Coci la elle」新店舗オープン】

「Coci la elle」新店舗オープン(DM)

「スワン新聞」と題された、新聞のような印刷物も一緒に入っていました。4コマ漫画から天気予報まで細やかにつくられていて、読み応えたっぷりです

「スワン新聞」と題された、新聞のような印刷物も一緒に入っていました。4コマ漫画から天気予報まで細やかにつくられていて、読み応えたっぷりです

SUBJECT⇌OBJECT(展覧会フライヤー)2017年11月18日~12月3日

AXIS GALLERYで開催された、TAKT PROJECTによる初個展のフライヤー。シンプルなデザインでしっかりと整理整頓された構成は、これまでTAKT PROJECTがおこなってきた表現を垣間見るようです。タイトルの文字部分は、すべて美しいツヤ加工が施されています。

SUBJECT⇌OBJECT(展覧会DM)

SUBJECT⇌OBJECT(展覧会フライヤー)

【SUBJECT⇌OBJECT】

美しいツヤ加工は、思わず触れたくなる仕上がりです

展覧会「世界を変える美しい本 インド・タラブックスの挑戦」(展示会フライヤー・チケット)2017年11月25日~2018年1月8日

板橋区立美術館で開催された、南インド・チェンナイの出版社「タラブックス」の本を紹介する企画展。美しいハンドメイドの本づくりで知られる「タラブックス」は多彩な本を刊行しており、画家や編集者、デザイナー、印刷職人らによるチームワークから生み出される本には、社会問題をテーマにしたものや、本の形状に特徴があるものなど、ユニークなものが多くあります。フライヤーのイメージには、代表作である絵本『夜の木』が使われています。ハンドメイド感のあるタイトル文字と、絵本のイメージを損なわないデザインに釘付け。チケットは絵本『水の生きもの』からのイメージで、発色がきれいです。

【展覧会「世界を変える美しい本 インド・タラブックスの挑戦」】

展覧会「世界を変える美しい本 インド・タラブックスの挑戦」(展示会フライヤー・チケット)

紙のかたち展 2(展示会DM)2017年10月6日~12月1日

株式会社竹尾 見本帖本店にて開催された、「紙のかたち展」シリーズ第2弾の展覧会フライヤー。今回は「ふわふわ、ごろごろ、じわじわ」というテーマで、建築家3組が作品を制作しました。フライヤーもよく見るとそれぞれの頭文字(ふわふわの“ふ”、ごろごろの“ご”、じわじわの“じ”)を抽象的に表現したデザインになっています。展示内容をより期待させる一枚は、しっかりした厚紙にゴールドの箔押しが施されています。グラフィック・会場構成は、田久保彬さんが担当。

紙のかたち展 2(展示会DM)

紙のかたち展 2(展示会DM)

【紙のかたち展 2】

贅沢な仕上がりの一枚

印刷物は目に留まりやすいグラフィックをまずは楽しむのもひとつですが、加工や紙質など細やかな部分まで味わう愛で方もよいと思います。今年はどんな印刷物に出会い、ご紹介できるか楽しみです。