近年、「リスキリング」という言葉が身近になり、新しい知識やスキルの習得を意識する人がますます増えてきています。
本記事では、わたしたちの暮らしに寄り添うデザインの基礎や、課題解決に使えるデザイン思考を学びたいと考えている社会人に向けて、おすすめのスクールを紹介します。
プロのデザイナーを目指す人だけでなく、本格的に学ぶかどうか検討している人や、日常業務にデザインの視点を取り入れたい人など、さまざまなニーズに応えるカリキュラムが用意されています。
専門学校 桑沢デザイン研究所「夜間附帯教育 基礎デザイン専攻」
東京・渋谷にある桑沢デザイン研究所は、1954年に日本初の「デザイン学校」として誕生しました。2024年に創立70周年を迎え、これまでに各分野で活躍する多くのデザイナーや芸術家を輩出してきました。
夜間附帯教育の基礎デザイン専攻は、週2回・夜間1年制のコースです。デザインプロセスの体験やレクチャー、ワークショップを通して、デザインの方法やアプローチを学びます。

これまでのデザイン教育の経験に基づき、「レクチャー&ワークショップ」では、デザインの基礎力の育成をめざします。社会や時代の変化を視野に入れながら、暮らしを支えてきたデザインを再発見し、今後のデザインの可能性を探る機会をつくります。
また、「プロジェクト」では、デザインの総合力を育むことを目的に、「つかむ・つつむ・つたえる・あそぶ」という4つの行為や活動に焦点をあて、それを実現するための具体的なかたちを探る過程を体験します。
本専攻では、実際に手を動かしながら制作過程を体験したり、各分野で活躍するデザイナーから現場の話を聞いたりしながら、デザインの基礎を広く学ぶことができます。これからデザインを学びはじめたい方に特におすすめの内容です。
受講期間:2026年4月~2027年3月、夜間
費用:385,000円(授業料 275,000円 維持費 66,000円 施設拡充費 44,000円)(税込)
https://www.kds.ac.jp/curriculum/kisozoukei/kisodesign/
ミームデザイン学校「デザインベーシックコース」
ミームデザイン学校は、2008年に東京・渋谷区の青山ブックセンター店舗内で開講しました。学生向けの職業訓練型スクールとは異なり、プロフェッショナルのデザイナーが学ぶ場として設立されています。
デザインベーシックコースは土曜日に授業がおこなわれ、講義のなかで基礎的な技術とデザイン的思考方法を身につけることを目指しています。講師はすべて著名なデザイナーで、各講義において広告界や出版デザインにおけるスペシャリストから構成されています。

タイポグラフィや印刷、かたち、レイアウトなど、実践的なポイントにも対応しています。こうしたコンセプトのもと、受講生の属性は多様です。デザインの専門教育を受けた人や現役のデザイナーに加え、デザイン周辺領域(プロデューサー、書籍編集者、アパレル関係者、教育者など)の方々も学んでいます。
講師の事務所で授業が実施されたり、講師の事務所に就職する方がこれまでに多くいたりと、単純なスクールの範囲にとどまらず、1,000名以上になる修了生がデザインを主語として大きなコミュニティを形成しています。また、スクール側も修了生との繋がりを維持し、いつでもデザインの講義を聞けるようにと、修了生と現役の受講生を対象にした共通講座を年5回程度で開催しています。
受講期間:2026年5月〜2027年3月、土曜日午後(全34回)
費用:300,000円(変更の可能性あり)
https://www.memedesign.org/
WEデザインスクール「デザイン判断ビギナー講座」
WEデザインスクールは、武蔵野美術大学デザイン・ラウンジと教育デザインファームOFFICE HALOが共同で開校した、日本初のデザイン経営の学校です。美大式のメソッドを進化させ、社会人の初学者向けに、これまでにない本格的でわかりやすいプログラムを提供していることが特徴です。
デザイン判断ビギナー講座では、デザインの良し悪しを議論し判断する力を養うために、色・文字・かたちの基礎を学びます。ロゴやパッケージなど、基礎習得に適した題材を用い、それぞれの背景にある意図や目的を理解しながら、色・文字・かたちの意味を理解する力を磨きます。

色・文字・かたちの学びは、外国語の習得に似ています。「赤はこういう意味がある」「丸い形にはこういう意味がある」といったように、デザインの要素にはそれぞれ意味があり、ある程度の幅もあります。デザインを判断できるようになるためには、まずそれらの意味を理解することが重要です。
また、「どこをどう見るのか」という観察のポイントを知ることも大切です。漠然とデザインを見るのではなく、見るべき観点を理解することで、デザイン判断の土台を作ることができます。最初の一歩から学べる、初学者向けのプログラムです。
「デザインを発注・判断する際の基準がわからない」「優れたデザイナーを見極めて採用し、共通言語を持って相談したい」といった悩みをお持ちの方におすすめです。
受講期間:全6回・隔週土曜
費用:152,000円(税込)
https://wedesignschool.com/program/desgin-literacy/
OUR FAVOURITE SHOP「OFS式 寺小屋〜デザインの学校〜 特別講義クラス」
グラフィックデザインの第一線で活躍し、大学や専門学校での講師経験もあるデザイナーを招き、講義を展開する「OFS式 寺小屋〜デザインの学校〜」。このスクールは、クリエイティブユニット・KIGIを中心に集まったクリエイターが運営するOUR FAVOURITE SHOP株式会社によって創立されました。
2025年に開催された第二期では、仕事などの都合で課題の提出が難しい方や、講義のみを受講したい方に向けて、オンラインで受講できる特別講義クラスも開設されました。受講にあたって、デザインの経験は問いません。

第二期の特別講義クラスでは、基本クラスの講師とゲストによる全6回の特別講義を実施しました。木住野彰悟さん、植原亮輔さん、矢後直規さん、柿木原政広さん、関本明子さんという錚々たるメンバーが講師を務め、ゲスト講師として「WRITING & DESIGN」の高崎卓馬さんの講義もおこないました。
遠方からの参加や、仕事などの都合で会場に来られない方には、オンラインでの受講にも対応しています。ZOOMを使った受講で、チャットによる質問も可能です。過去には、フォトグラファーとアートディレクターによる「写真編」の講義や、2日間の集中講義「京都編」も開催。今後もテーマや場所を変えた新しい講座を準備しています。
※第三期より、期間・内容が変更になる可能性がございます。詳細は必ず公式サイトをご覧ください。
受講期間(第二期実績):2025年6月~2025年10月、夜間
費用(第二期実績):入会金11,000円、受講料99,000円(いずれも税込)
https://www.ofs.tokyo/terakoya/
THE LESSON「深澤直人 Naoto Fukasawa|THE LESSON OF DESIGN」
「THE LESSON(ザ・レッスン)」は、無印良品、±0、マルニ木工など、数々のプロジェクトを手がけてきたデザイナー・深澤直人さんから学べる、唯一無二のオンライン講義です。講義は全15チャプターで構成され、深澤さんがこれまで培ってきた「経験・技術・哲学」を包括的に学ぶことができます。

深澤さんの「デザイナーとしての思考」や、クライアント・職人との協働で活用するコミュニケーションやプレゼンテーションについて学べます。また、スケッチや模型制作、素材への理解など、デザインを形にするための思考とプロセスも、具体的な事例とともに紐解かれます。
さらに、「Without Thought」や「Super Normal」など、思想の根底にあるデザイン哲学についても、背景や発想の源泉を交えながら語られます。
講義時間は全体で約100分ですが、1チャプターは約5〜10分と短く区切られているため、日常の中でも少しずつ学びを深めることができます。字幕は日本語と英語に対応しています。
受講期間:オンデマンド視聴のため、好きなタイミングで受講可能
費用:9,900円(税込)
https://thelesson.jp/?utm_campaign=media_jdn_2025
以上、編集部おすすめの5講座をご紹介しました。いずれの学校でも、さまざまな立場の社会人に向けた学びの内容や手法、サポート体制が展開されています。本記事が、リスキリングを考えている方、一人ひとりに合った学校選びの一助になれば幸いです。
メインビジュアル:宮岡瑞樹 編集:JDN編集部




