近年、「リスキリング」という言葉が身近なものとなり、新しい知識やスキルの修得を意識する人は、ますます増えてきているのではないでしょうか?
本記事では、建築・インテリアデザインの分野を学ぶことができる、社会人にもおすすめのスクールを紹介します。本気で建築家やインテリアデザイナーを目指したい人や、業務に建築・インテリアデザインの視点を取り入れたい人など、さまざまなニーズにこたえるカリキュラムが用意されているので、ぜひチェックしてみてください。
専門学校 桑沢デザイン研究所「専攻デザイン科 スペースデザイン専攻」
本専攻では、「人」と「モノ」と「社会」の関わりを空間デザインを通して学びます。学習の視点は3つあり、空間を構成するモノを扱う「エレメントデザイン」、内部空間を人の精神・身体との関わりから考える「インテリアデザイン」、そして内部空間が社会とどう結びつくかを日常生活の側面から考える「住環境デザイン」です。
1年次前期は、デッサンや製図、造形発想などを通してデザインの基礎力を養います。後期は「モノ-人間-空間」の関係性を分析し、スペースデザインの基礎を学びます。家具や照明といった「エレメント」に着目しながら内部空間を設計し、住宅デザインの演習にも取り組みます。
後期にはCADの授業もあり、デザインを模型や図面で表現する力を培います。2年次は「人」と「モノ」が社会や都市とどのように関わるかを、住空間・商空間の設計課題を通して学び、「モノ-人-社会」の関係性を踏まえたデザイン力を身につけます。
受講期間:2026年4月~2028年3月、夜間
費用:1年次 795,000円、2年次 630,000円(入学金など諸経費含む)
https://www.kds.ac.jp/curriculum/designsd/
ICSカレッジオブアーツ「インテリアデコレーション科」
「住空間」と「商空間」のインテリアデザインを学び、2年間で空間デザインからコーディネーションまで取り組めるプロフェッショナルを養成するコースです。
デザインの基礎から学ぶカリキュラムのため、インテリアや建築業界未経験者でも一からしっかり学ぶことができます。現役のデザイナーや建築士を講師に迎え、流行を取り入れた実践的な指導を受けることで、即戦力として活躍できるスキルを習得できます。
また、1対1の個別指導(チュートリアル方式)や企業との協同プロジェクトがある点も大きな特徴です。一級建築士の受験資格取得も可能。学生層は社会人を含め年齢や国籍も多様で、就職・転職サポートも充実しています。
東京デザインプレックス研究所「商空間デザインプロフェッショナル総合コース」
次世代のプロフェッショナルデザイナーを育成する「東京発コンテンポラリーデザインの複合型教育機関」、東京デザインプレックス研究所。本コースは、業界屈指の空間デザイン・照明デザイン会社が企画・監修し、講師も担当する実践プログラムです。
授業では、店舗・施設の企画設計から基本設計、実施設計、各種詳細設備図まで高度な「設計力」を養成。また、最重要スキルである「設備/照明プランニング」や、空間演出の要となる照明デザインなど、現場で即応できるスキルも習得します。
さらに、最先端のデジタルパース制作スキル「空間CAD(Vectorworks 2D&3D)」「空間グラフィック(Photoshop/Illustrator)」のプログラムも用意。売上設定や収益構造、立地選定など経済合理性についても学び、業界が求める空間デザイナーを養成します。加えて、各業界のトップクリエイターを講師に迎え、コンセプトデザイン、ソーシャルデザイン、コミュニケーションデザインなどを学ぶワークショップ形式の特別授業「プレックスプログラム」は、2年間無料で参加できます。
授業は100%現役プロ講師による対面形式で、少人数制を採用しているため、一人ひとりにきめ細かく指導が行き届きます。カリキュラムは実践重視で、短期間で未経験者のデザイナー就職や、デザイン経験者のスキルアップが可能です。就転職サポートも充実しており、就活方法からポートフォリオ制作、キャリア設計まで個別に指導。難関デザイン企業への内定者も多数輩出しています。
なお、本コースは厚生労働大臣指定の一般教育訓練給付制度対象コースです。支給要件を満たせば学費の20%(最大10万円)が支給されます。他の指定コースについてや支給要件の詳細は、学校案内書をご請求ください。
受講期間:6~12ヵ月、200時間(80コマ)、平日夜クラス・土曜クラス・日曜クラス
費用:学費総計693,000円(税込)※一般教育訓練指定講座/給付額10万円
https://www.tokyo-designplex.com/?ID=ab&bd&w&00077
修成建設専門学校「建築・デザイン学科(夜間部)」
夜間で効率的に学び、建築分野で必要な知識と技術を身に付けられる本コース。1年次は、契約や施工、材料学など、建築士資格の受験に必要な科目を中心に学習を進めます。CADをはじめとしたデジタル設計技術も、基礎からしっかり習得できます。
2年次では、1年次で身に付けた基礎的な知識や技術を応用するスキルを学びます。また、施工・デザインの科目を選択でき、1級建築施工管理技士補や各種インテリア関連の資格対策講座も開講されます。
昼間部と同様、卒業時には一級・二級建築士の受験資格を得られるため、設計・施工からデザインまで建設分野の幅広い職種を目指せます。さらに、一部の授業はオンラインでも受講できるハイブリッド形式を採用しているため、働きながらの学習も無理なく進められます。
受講期間:2026年4月~2028年3月、夜間
費用:初年度納入金635,000円(入学金含む) 教科書代など103,000円(初年度)
https://www.syusei.ac.jp/course/dept_architecture_night/
青山製図専門学校「インテリア工学科」
本コースは、18時30分からスタートする夜間学科のため、仕事と両立しながら学んだりダブルスクールで学んだりすることも可能です。本校に入学する方の多くは、インテリアや建築を学んだことのない初学者の方が多いですが、建築の基礎を押さえた凝縮カリキュラムと、担当教員の親身な指導で、インテリアデザインと建築設計をバランスよく学べます。
さらに、BIMやCAD、CGなどの実務的なスキルも身につけられるため、総合力のあるインテリアデザイナーを目指すことができます。
校舎はJR渋谷駅新南改札から徒歩約7分の場所にあるため、通学に便利なところもポイント。資格取得のサポートも充実しており、在学中に「インテリアコーディネーター講座」がオンデマンドで受講可能。さらにインテリアだけでなく建築もしっかり学ぶため、卒業時に一・二級建築士の受験資格を取得できます。また、「専門実践教育訓練給付制度」の対象学科のため、受給条件を満たしていれば給付制度も利用可能です。夜間学科には、「建築科(2年間)」も設置しています。
受講期間:2026年4月~2028年3月(2年間)、夜間
費用:550,000円(初年度) ※用具・教科書など別途
https://www.aoyamaseizu.ac.jp/subject/lp-interior/interior2
早稲田大学芸術学校「建築科」
1年次は、建築に必要な知識と技術の基礎を総合的に学ぶ本コース。演習科目「建築設計表現」では、図面の描き方や読み取り方を学びながら基礎知識を習得。デザイン・構造・設備・環境・材料を幅広く理解しつつ、図面を通じて「建築とは何か」という視点を養います。後半は住宅を題材に応用を学び、最終課題で住宅設計に取り組みます。
2年次は、デザイン論、都市論、歴史、構造、生産、法規などを学び、より高度で実践的な知識を習得します。演習「建築設計計画」では、美術館や集合住宅、宿泊施設など実際の敷地を想定した課題に取り組みます。敷地の読み取りや模型制作を通じて学び、建物のプログラムを検討しながら空間を設計。最終的に図面や模型で総合的に表現する方法を学びます。
なお、建築科では、2年間で所定科目を修了し卒業することで二級建築士試験および一級建築士試験の受験資格を得られます。卒業後に専門性を高めたい方には「建築都市設計科」への編入制度も。さらに、建築都市設計科卒業後は、早稲田大学大学院創造理工学研究科への特別選考制度も用意されています。
夜間開講ということもあり、10代から60代まで幅広い年代の学生が互いに切磋琢磨し、学び合う同校。また、2年生以上は専用スタジオに自分の作業スペースを持てる点も特徴です。
受講期間:2026年4月~2028年3月、夜間
費用:1年次 1,160,000円、2年次 900,000円(入学金など諸経費含む)
https://www.waseda.jp/school/art/
デザインファーム建築設計スタジオ「夜間部・土曜部 建築設計スタジオ」
社会人・未経験から建築家を目指せる、実務習得型の建築設計スクールです。建築業界の中でも意匠設計(間取りやデザイン)に特化しているため、必要な知識や技術を効率よく学べ、建築設計事務所への就職に強みがあります。就職活動に欠かせない「ポートフォリオ(作品集)」も授業内で制作し、現役の建築家が採用の視点から直接指導します。
働きながらでも限られた時間で就職に必要なスキルを習得できるようカリキュラムを整えており、「夜間部・土曜部」からも多くの卒業生が転職に成功しています。「週1~2回で戦力になるまで成長できるのはすごい」と、就職先の建築家からも高く評価されています。
受講者の年齢層は20~50代と幅広く、社会人が約9割。多様な価値観に触れることで「思考の幅が広がった」「引き出しが増えた」といった声も多く、設計や作品に活かされています。また、社会人に嬉しい「振替制度」もあり、夜間部と土曜部は同一カリキュラムのため相互に振替可能。カリキュラム表で日程を確認すれば、いつでも何度でも振替できます。仕事と両立しながら未来へのステップを築きたい方や、「まずは挑戦してみたい」という方に最適な学び直しのクラスです。
受講期間:2026年4月~2028年3月 夜間部:月曜と木曜(19:30~21:40) 土曜部:土曜(13:00~17:30)
費用:1年次 572,000円(税込)、2年次 572,000円(税込)※入学金なし
https://www.designfarm.org/class/nightbuild/
専門学校 東京テクニカルカレッジ「通信課程 建築科 二級建築士+BIMコース」
2026年4月より、通信制の新学科「通信課程 建築科」を開設する東京テクニカルカレッジ。同校は1969年の創立以来、4万人以上の卒業生を輩出しており、業界・企業との連携により、即戦力となる実践的な技術者を育成しています。
本コースは、時間や場所にとらわれず学べるオンデマンド学習と、月1~2回の対面スクーリングを組み合わせたハイブリッド学習を提供。働きながら学ぶ方や地方在住の方など、従来の通学型では学びにくい環境にある方も支援します。
「二級建築士+BIMコース」では、二級建築士受験に必要な指定科目40単位を効率的に履修。専門知識を体系的に学ぶことで卒業と同時に受験資格を取得できるほか、AutoCADやBIM(Building Information Modeling)を実践的に習得し、建築設計の即戦力となるスキルを身につけられます。そのほか、二級建築士コース、一級建築士コース、専門士コースも用意されています。
独自のLMS(オンライン学習管理システム)と「コヤマ式教育システム」により、“わからない”を残さずサポート。担任・講師が一人ひとりに寄り添い、目標達成まで伴走します。グループワークやネットワークづくりも充実しており、質問もLMS・メール・対面で柔軟に対応。卒業後のキャリア支援も行います。
受講期間:2026年4月~2028年3月
費用:1年次 465,000円、2年次 435,000円
https://tec.ttc.ac.jp/lp/tsushin-architecture/
以上、編集部おすすめの8講座をご紹介しました。いずれの学校でも、さまざまな立場の社会人に向けた学びの内容や手法、サポート体制が展開されています。本記事が、リスキリングを考えている方、一人ひとりに合った学校選びの一助になれば幸いです。
メインビジュアル:宮岡瑞樹 編集:JDN編集部