レポート イベント、アートフェス、見本市、新店舗など、編集部目線でレポート
スイスデザイン展
世界中で愛されるデザインの国スイスの全貌を紹介する日本初の試み
2015/01/28
JDN編集部
日本とスイスの国交樹立150年にあわせて開催される展覧会。両国の交流の始まりを導入として、近代デザインの草創期からその開花を迎える20世紀中頃、そして多様な価値観とアイデアの展開する現在までスイスから発信されたさまざまなデザインを紹介している。
グラフィック、プロダクト、建築、ファッションといった分野を網羅し、そのボリュームはかなりなもの。日本とスイスが国交を樹立した1864年に遡る「プロローグ」、続いて「観光・交通のデザイン」「スイス・ブランドの物づくりとデザイン」「マックス・ビルとモダンデザインの哲学」「スイス・タイポグラフィーとグラフィックデザインの黄金時代」「スイスデザインの現在」「ル・コルビュジエとスイスデザイン」という七つのゾーンで会場を構成する。盛りだくさんな会場の様子を紹介しよう。
1:プロローグ
日本とスイスが国交を樹立した1864年当時に遡って、両国の交流の始まりを証言する版画や資料を紹介、また「スイスクロス」のデザインやパスポート、紙幣などスイスという国を象徴するデザインでこの国のアウトラインを探る。
2:観光・交通のデザイン
小さな国土に雄大なアルプスの高峰や豊かな森と美しい湖をいただくスイス。19世紀以来発達をとげた観光システムをめぐるデザインは、スイスのデザインの水準の高さを示すとともに、スイスという国のあり方もヴィヴィッドに伝える。「観光立国」に果たすデザインの役割は、2020年に東京オリンピックを控えた今日の日本にも通じるホットなテーマでもあるだろう。
3:スイス・ブランドの物づくりとデザイン
スイスを代表する8ブランドの取り組みと、そこで受け継がれるデザイン理念。
バリー:1851年にリボンメーカーとして創業、靴の開発に進出して機能とデザインを兼ね備えた製品で愛好されるブランドに。同社のアーカイブから歴代ポスターや靴、ロゴデザイン・見本帳などを紹介。
ビクトリノックス:1884年に刃物職人カール・エルズナーが創立、マルチツールのアーミーナイフで他の追随を許さない位置を占める。そのシンプルで機能的なデザインは、スイスデザインを代表するアイコンの一つ。プロトタイプや特殊な素材を使用したモデルなど歴史と今を語る約200点を紹介。
USMモジュラーファニチャー:建築家フリッツ・ハラーと三代目経営者ポール・シェアラーが1963年に開発した「USMハラー」。同社工場の鉄骨モジュラーシステムを家具に応用して生み出されたシンプルでフレキシブルなモジュール式収納家具。建築から家具への移行プロセスや、構築モデルなど貴重な資料とともに紹介。
クリスチャン・フィッシュバッハ:1819年創立の高級インテリアファブリックメーカー。ファッションファブリックから出発した同社は、高品質なデザインで存在感を示す。貴重なデザイン原画とともにデザイン性豊かなアイテムを紹介。
シグ:1908年に金属加工の専門家フェルディナンド・シグが創立、当時の新素材であったアルミの加工製品で成長。1957年のトラベラーボトルの製造を開始、以来シンプルな構造とデザインのアルミボトルが世界中で愛用されている。
ネフ:1958年、クルト・ネフが創立した玩具メーカー。遊び方が無限に広がってゆく新しい発想の積み木、「ネフスピール」を出発点に、新しい商品も世に送り出しながら、その精巧な作りで時代を超えて使い続けられている。
フライターグ:トラックの使用済みの幌を使ったバッグ類で知られる同社は、フライターグ兄弟が1993年に創立。大量消費のサイクルに疑問を投げかけ、リサイクルとデザイン性の両面を追求し、その相乗効果で現代の社会に独自のヴィジョンを提起している。
関連情報:
アップサイクルの元祖「FREITAG(フライターグ)」変わらぬデザイン哲学
http://www.japandesign.ne.jp/report/141015_swiss.html
スウォッチ:カラフルでシンプルな革新的デザインをまとったプラスチック製クォーツ時計で、従来のスイス時計のイメージを塗り替えた同社は、1983年創立。そのユニークなデザイン哲学とともに、スウォッチ・ファンクラブのクラブ・ウォッチコレクションの限定モデルを一堂に紹介する。
※レポートの続きは、2015年2月に公開予定です
- ●取材協力
- 東京オペラシティアートギャラリー
https://www.operacity.jp/ag/ - 日本・スイス国交樹立150周年記念 特設ウェブサイト
http://swiss150.jp