4億本を売り上げる、ガリガリ君。「おいしい」「楽しい」「元気」を叶えたデザイン(1)

[PR]
4億本を売り上げる、ガリガリ君。「おいしい」「楽しい」「元気」を叶えたデザイン(1)
赤城乳業の主力商品であり、子どもから大人まで親しまれる国民的アイス「ガリガリ君」。発売から36年が経ち、年間売上は4億本以上、工場見学の予約はピーク時で500倍ともいわれる。近年では「コーンポタージュ」「メロンパン味」といった、変化球の味を思い浮かべる方も多いかもしれない。そんなガリガリ君のキャラクターをはじめ、パッケージや販促物まですべてのデザインを手がけるのが、1997年にデザイン会社である有限会社Gを立ち上げたアートディレクターの高橋俊之さんと、ともに有限会社Gを立ち上げ、同社のプロデューサーを務める楠原美夏さんだ。20年以上の仲だというお2人に、ガリガリ君のパッケージやキャラクターデザイン、制作の裏話などをうかがった。

ガリガリ君のリニューアルから始まり、
いまではすべてをデザイン

高橋俊之さん(以下、高橋):僕たちがガリガリ君の仕事に関わりはじめたのが1999年です。キャラクターをリニューアルしたいと、もともと付き合いのあった赤城乳業の方に声をかけていただきました。ガリガリ君は赤城乳業の主力商品で僕も子どもの頃から食べていたので、お話をいただいた時は夢のようでした。現在はパッケージから販促物、当たりのガリグッズのデザインなど、ガリガリ君に関わるすべてのデザインをしています。

楠原美夏さん(以下、楠原):私はプロデューサーという立場で、ガリガリ君のパッケージ印刷のスケジュール管理なども担当しています。基本的には1か月に1度くらいのペースで新商品が発売になり、さらに1つの味につきパッケージが3種類あるので、デザインにもスピード感が必要です。なぜパッケージが3種類もあるかというと、子どもたちに楽しんでもらいたいという想いからなんです。例えば兄弟で冷凍庫からガリガリ君を取り出した時に、「あれ? お兄ちゃんのと絵が違うね」くらいのさりげない楽しみを感じてもらえると嬉しいですね。

ひとつの味につき、3種類のパッケージを展開するガリガリ君。2016年にグッドデザイン賞も受賞

ひとつの味につき、3種類のパッケージを展開するガリガリ君。2016年にグッドデザイン賞も受賞

(左)高橋俊之:桑沢デザイン研究所グラフィック研究科を卒業し、1997年有限会社Gを設立。2006年赤城乳業と共同出資で有限会社ガリガリ君プロダクションを設立。1999年以来「ガリガリ君」のパッケージデザインやCM、ポップ、イベント、ライセンス商品のパッケージ、販促物にいたるまですべて手がける。(右)楠原美夏:成城大学経済学部卒業後、デザイン制作会社ライトパブリシティ勤務。その後渡仏し、帰国後はハヤサキスタジオ(写真スタジオ)に勤務。多摩美術大学デジタルデザイン入学。中退後、1997年に有限会社Gを設立

(左)高橋俊之:桑沢デザイン研究所グラフィック研究科を卒業し、1997年有限会社Gを設立。2006年赤城乳業と共同出資で有限会社ガリガリ君プロダクションを設立。1999年以来「ガリガリ君」のパッケージデザインやCM、ポップ、イベント、ライセンス商品のパッケージ、販促物にいたるまですべて手がける。(右)楠原美夏:成城大学経済学部卒業後、デザイン制作会社ライトパブリシティ勤務。その後渡仏し、帰国後はハヤサキスタジオ(写真スタジオ)に勤務。多摩美術大学デジタルデザイン入学。中退後、1997年に有限会社Gを設立

高橋:ガリガリ君リニューアルにあたって赤城乳業からの要望は、「時代に合ったイラストに変えたい」というものでした。ちょうどゲームやアニメで3Dが流行りはじめた頃だったということもあり、キャラクターを3D風に変化させました。そのリニューアルした「新・ガリガリ君」を発売したのが2000年です。

楠原:2000年頃は、赤城乳業として今後世の中にもっとガリガリ君を広めていきたいという時期だったので、イラストもこれを機にと赤城乳業側が判断して仕切り直したのだと思います。さらに、多くの人に知ってもらうためにはテレビコマーシャルもつくりたいということになり、キャラクターのリニューアルとCM制作の両方を私たちに依頼していただいたんです。

ガリガリ君CM(2000年)

ガリガリ君CM(2000年)

高橋:そんな時、当時から交流のあった糸井重里さんを通じて、ワハハ本舗の「ポカスカジャン」に偶然会う機会があったんです。僕らはCMのためにガリガリ君のテーマソングがほしいと考えていたので、彼らに会ったときに「ぴったりだ!」と思いました。そういう経緯からあの特徴的なCMソングができ上がったわけですが、ありがたいことにCMも話題になり、いまや彼らの代表曲にもなっています。

2006年には、赤城乳業と共同出資で「ガリガリ君プロダクション」というガリガリ君専門のブランド管理をする会社を立ち上げました。同社をつくったことによって、さまざまな企業とのコラボ商品などの依頼を受けることが可能になり、赤城乳業との関係も深まりました。思い返せば1999年当時は、ガリガリ君の知名度はいまほど高くはなかったのですが、現在は本当に多くの人に認知していただいている実感があります。

元気で楽しく、わかりやすいパッケージデザインに

高橋:ガリガリ君のパッケージにおいては、「元気」という要素が不可欠だと思っています。おいしさを前面に出しているアイスは当然たくさんありますが、ガリガリ君に関しては「おいしい」ということに加え、「元気」「楽しい」という要素を伝えられれば。あとはご存知の通り、たくさんの味が発売されるので、どんな味かすぐわかるデザインにすることも大事ですね。イラストはショーケースの中からガリガリ君がお客さんに呼びかけているようなイメージで描いています。

2000年にキャラクターを3D風にして発売したものの、僕は以前の漫画的な要素も残した方がガリガリ君らしくていいと考えていたので、赤城乳業の方々と話し合ってイラストに漫画的な輪郭線をつけて進化させ、現在の形に落ち着いています。普通はキャラクターってなかなか変えないと思うのですが、キャラクターが生きているというか、少しずつ進化を遂げているところも含めてガリガリ君のおもしろさなのかなと。

明確にシリーズで「横」「縦」「斜め」で分けているデザイン

明確にシリーズで「横」「縦」「斜め」で分けているデザイン

どのくらいの人に気付いてもらえているかわかりませんが、実は定番の70円の「ガリガリ君」、氷にミルクやチョコなどを混ぜ込んだ「ガリガリ君リッチ」、高果汁の「大人なガリガリ君」の3シリーズでパッケージも明確に棲み分けているんです。ガリガリ君は横向き、ガリガリ君リッチは縦向き、大人なガリガリ君は斜めのデザインなんです。買う際にみんなが間違えないようにわかりやすく、というのはデザインの方向性としてあるのですが、この単純明快な棲み分けがガリガリ君らしいと思っています。

デザインをするにあたり、子どもたちのことはもちろん意識しますが、ガリガリ君はオールターゲットな商品だと思っています。誰もが喜ぶ味づくりになっていますし、安いし、低カロリー。次は何の味が出るんだろう? と、いまや大人も話題にしてくれるようになりました。「ガリガリ君は冷蔵庫に必ずある」くらいの定番を目指していますね。

明確な決めごとを設けない=ガリガリ君らしさ

高橋:ガリガリ君のキャラクターについては「永遠の小学生」というプロフィールがあるものの、何年生ということをはっきりと謳っていません。そこに戦略や意図があるのかと言われれば、特にはないんです(笑)。ターゲットといい、明確に決め事を設けないところがガリガリ君らしさなのだと思っていただければ。

ガリガリ君コラボグッズ。歯みがき粉や入浴剤などさまざまな楽しいアイテムが揃う

ガリガリ君コラボグッズ。歯みがき粉や入浴剤などさまざまな楽しいアイテムが揃う

楠原:私たちがガリガリ君に関わりはじめた頃って、駄菓子屋にもコンビニにもすでに売られてはいたものの、まだ売られていない地域もあったと思います。とにかくもっと広く全国の人においしく楽しく食べてもらいたいという想いだけで必死にやっていたので、戦略や計算なんてなかったんですよね。“通常の枠にとらわれずおもしろがって食べてほしい”ということで、真冬のスキー場でのサンプリングなども行っていました。スキーやスノボは汗をかくので、意外と好評だったようです。

高橋:現在はこんなに超メジャーになっちゃいましたけど、社員の方々が一丸となって取り組んでいて、みんなでワイワイ楽しくやっている感じは当時と変わらないですね。

次ページ:コーンポタージュの制作秘話とデザインの原点