写真家・濱田祐史氏の新作展「C/M/Y」が、POSTで開催される。本展は、オランダの出版社Fw:（エフダブリュー）から写真集「C/M/Y」が出版されることにあわせた展覧会である。

本作品「C/M/Y」は、デジタルポラロイドを使い、出力されたフィルムを物理的にシアン、マゼンタ、イエローの三層へと分解し、再構成することで制作されている。今回POSTで展示される作品群は、昨年2014年にIMA CONCEPT STORE（東京・六本木）で初めて発表したシリーズ「C/M/Y_waterfall」から派生し、より複雑で遊び心のある表現へと進化している。

「C/M/Y_mineral」は、あるイメージをC/M/Yに分離して表れた画層と、鉱物雑誌の誌面をルーペで拡大して撮影されたイメージをC/M/Yに分解した画層を重ね合わせることで、全く新しいイメージをつくり出している。印刷物を再びC/M/Yに引きはがし、違う色に無限にある選択肢の繰り返しによって本シリーズがどこまでも拡張していく可能性を見出だせる。

「C/M/Y_cube」は、ルービックキューブのイメージをC/M/Yの画層に分離してそれぞれのレイヤーを重ね合わせるが、その際に少しずつずらして重ねることで色が変化していく。ルービックキューブは両手を使って色を合わせる遊びであるが、濱田氏は実際に手を動かして回すことなく、平面上での画層の変化によって色が変わっていくことを楽しむように二次元と三次元とを行き来している。
多彩な表現を通じて、写真の可能性を拡張する作品を発表し続ける、濱田氏の新作をご覧いただきたい。