オーストラリアの作家、ベンジャミン・イードルス（1967-）とキャシー・エリオット（1964-）は1993年より共同制作を開始した。彼らは各々のアイディアを制作の中で試みながら、多様な作品を生み出している。本展はイードルスとエリオットの日本初の個展であり、初期から現在に至るまでの作品をとおして、彼らの豊かな作品世界に迫る。

イードルスが主に吹きガラスによって作り上げたかたちに、エリオットが長い時間をかけてカットや彫刻を行うことで、彼らは一つの作品を制作している。イードルスが作り出す洗練されたかたちの上を、エリオットが描く線は軽やかに駆け巡り、また削りの跡は表面を繊細に波立たせており、それぞれの感性が重なり合った独自の表現が展開されている。同時に、作品がもつ伸びやかな輪郭や細かな質感は、光と結びつくことで強調され、柔らかく美しい表情を見せる。

素材、そして光と対話を重ねながら生み出される、新鮮な空気感に満ちたイードルスとエリオットの作品には、日々を生きる中で起こる出来事や、自らを取り巻く自然に対する作家達の柔軟で親和的なまなざしが投影されている。また、ひとつひとつの作品は、自身の表現を探究しながら作家達が辿ってきた、光り輝く到達点とも言える。彼らの目的地は常に更新され続け、私たちの想像や好奇心を新たな場所へと誘う。

【関連イベント】
●学芸員によるギャラリートーク
日時：8月13日（土）、8月27日（土）、9月10日（土）、24日（土）　各回14:00～
会場：展示室3
※事前申込み不要（ただし、本展観覧券の半券が必要）