上出惠悟の個展「熊居樹孔」が、Yoshimi Artsで開催される。

日本の伝統工芸はさまざまな問題を抱えている。生活スタイルの変容、工業製品の台頭などによる需要の低迷に伴った職人の減少は、道具や原料を作る業者にまで及び、今や伝統工芸は産業として衰退の一路を辿っていると言わざるを得ない。石川の伝統工芸である九谷焼においても、例外ではない。

九谷焼の窯元で130年の歴史を持つ「上出長右衛門窯」の6代目である上出惠悟は、九谷焼の中でも少なくなっている磁器の成形や商品企画、世界的なデザイナーであるハイメ・アジョンとのコレボレーションを丸若屋と共に実現した。また、上出惠悟個人としての作品を発表するなど多領域にわたり活動してきた。

本展では、去年名古屋の個展で突如として上出惠悟が興味を持ちだした「熊」を題材にした作品を、今年の3月に東京で開催した「KUTANI CONNEXION（九谷焼コネクション）」に引き続き、Yoshimi Artsで展示する。古来より人間と熊とは深く関わりあっており、胆嚢は生薬として、毛皮は衣服や敷物として、ある地方においては生きて行く為に欠かせない貴重な恵であることから、山の神として崇められ、そこから祭りや神話的な物語や逸話が生まれた。

また、熊は愛らしく二足歩行する姿から木彫りで彫られたり、ぬいぐるみやキャラクターとしてアニメーションの主人公になったり、その存在は世界中で幅広く愛されてきた。その一方、かつては全域に生息していたにもかかわらず、有史以来熊に関する美術品は他の動物に比べ極端に少なく、熊との関わり合いの歴史を辿る事は、日本の歴史という観点から美術や工芸を読み解く一端となるかもしれない。

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●オープニングレセプション
日時：6月18日（土）　18:00～