発想、素材、技術 × 装飾用シートで
デザインの可能性を創造するCSデザイン賞
2014/09/10 UPDATE
Vol.4第17回 学生部門受賞「mitsukema」「decocap」「Animalake」が店頭に並ぶまで
第17回CSデザイン賞学生部門のテーマを「デザインステッカー」に変更した2年前から、その最終目標は「商品化」だった。普段の生活空間の中にCSを活用することで、使う人の暮らしにちょっとした変化をもたらすものを開発したい、という希望と、受賞作が大きく羽ばたくことを期待しての取り組みだ。
第17回は、作品の応募締め切りが2012年3月末、受賞作品の発表が同年7月。受賞作の中から選ばれた3作品「mitsukema」「decocap」「Animalake」は、4か月後の11月に商品の仕様が全て決定し、デビューを果たしている。相当のスピード感だが、これは「店頭に並んだ際のパッケージデザイン、商品名も全て考えて試作を提出」という応募条件に向き合った受賞作だからこそ可能となったものであろう。
「mitsukema」のコンセプトは、人とものをつなぐステッカー。つけまつげのシールを顔に見えそうなモノに貼ると、一気にチャーミングになってモノに対する愛着度を高めてくれる。商品化にあたっては、中川ケミカルからデザイナーの高橋理沙氏に、新しい形のバリエーションや色展開等の提案が行われ、ブラッシュアップをサポートした。「パッケージに関しても、私自身が初めに考えたものからなるべく変更をしないように考えてくださっている心遣いを感じました。」(高橋理沙氏)
「decocap」は、ペットボトルのキャップにお気に入りのステッカーを貼ることで、自分だけのキャップを作ることができるデザインステッカー。繰り返し使うことができ、普通なら捨ててしまうものに付加価値を与えるデコレーションとなっている。デザイナーの西川令花氏は「プロが商品化するにあたってのデザインへの着目点の違いを直接伺うことができ大変貴重な経験になりました」と感想を述べている。
「Animalake」は、あらゆる場所が動物の池になるステッカーだ。グラスに貼って飲み物を注げば、動物たちが波間を漂う。デザイナーの中川恵理子氏、新美宏樹氏の両名は「自分たちで作ったときとは違って、大きさやパッケージの質感など、実際に売られる商品なので、予算のことも考えてデザインしていくことの大切さを感じました」と振り返る、社会に出る前の貴重な体験となったようである。
なお、これらの商品は東急ハンズで購入が可能である。第18回の3作品も既に販売に向けた調整が行われており、発売の日が待たれる。
第18回CSデザイン賞 商品化打ち合わせ風景