発想、素材、技術 × 装飾用シートで
デザインの可能性を創造するCSデザイン賞
2014/09/10 UPDATE
Vol.3一般部門、学生部門のそれぞれに求められるCSデザインの要件
第18回CSデザイン賞一般部門で話題となったのは、バラエティに富んだ空間や造形に定着したCSデザインの多様さである。「カッティングシートだけでは何も起こらないが、発想、素材、技術が組み合わされることによって、常に進化し続ける」(審査員・佐藤卓氏)の言葉通り、常に新たなデザインが作られる。同じ素材でも、使い方ひとつで想像もしなかった空間ができ上がる。
今回の一般部門グランプリについて、審査員は一様に、同じ白色をCSとシルクスクリーンで適所に使い分けながらも、「手法の違いが分からないほど融合している(同・石上純也氏)」「CSデザイン賞の本質を感じさせる(同・内田繁氏)」「CSデザインの成熟を感じた(審査委員長・永井一正氏)」と、作品を高く評価している。
その他の受賞作品について、審査員の原研哉氏は、「いずれの作品も目立ちすぎないように、静かに抑えるほどにエレガントなイメージが際立ってくる」と印象を語った。こうした「空間への融合」は、CSデザインには欠かせない視点だ。
学生部門は、一般部門とはフィールドが異なるが、まったく新しいCSデザインが求められるという点では同じである。さらにいえば、前回と同じテーマ設定でも、それを超える新たなデザインが要求されたという意味では、厳しい審査であったかもしれない。商品化を前提としたデザインと、そのための全方位的なバランスの良さも重要だが、「粘着性シートを『カット』すること、そのカッティングと、シートの特性をいかしたデザインステッカーとは何かが問われた」「印刷するステッカーとは全く違う発想が実は求められている」(審査員・菊竹雪氏)と聞くと、やはり大きな挑戦がそこにはあったのだと改めて気づかされる。
第18回CSデザイン賞学生部門への応募総数は158点、受賞は11作品となった。受賞作品のうち、商品化への検討がされているのは3作品だ。第17回の受賞作品は既に販売が開始されており、第18回で選ばれた作品群が店頭に並ぶ日もそう遠くはない。これらの商品を手にすることで、暮らしがほんの少し豊かなものになるのではないだろうか。その変化もまた、CSデザイン賞の楽しみのひとつである。
商品化予定の学生分門受賞作品のプロトタイプ