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12カ月のパリ
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第15回 (2)
Masayo Ave in France ── 前編




■ デザインの原点
ヨーロッパと一口で言っても、第二次大戦後、工業の中心を軍事産業から民需産業へ変換した敗戦国(ドイツ、イタリア)と、そうならなかった勝戦国(フランス、イギリス)では、工業とデザインの発展の仕方も、人とデザインとの関わり方も、デザイナーに求められるものも全く異なる。ヨーロッパの国の中でも、阿部さんの工業デザイナーとしての能力にいち早く着眼した、ドイツのHansjerg MAIER-AICHEN氏にインタビューした。

Interview :
AUTHENTICS(オーセンティクス)創業者
Hansjerg MAIER-AICHEN(ハンス・マイヤー・アイヒェン)氏

1980年に設立したAUTHENTHICSの創業者として、プラスチックに着眼した日常品のデザインを成長させた。多数の名誉賞を受賞。現在では、デザイナー/コンサルタントとして、ヨーロッパや米国の企業のサポートをする。ドイツの学校でプロダクトデザインの教鞭もとる多才ぶり。

筆者 : Masayo AVEとの出会いはいつですか? どんな印象を持たれましたか?

ハンス・マイヤー・アイヒェン氏 : 1996年にドイツ・シュテュットガルトのソリテュード・アカデミーという芸術研究施設へ彼女が招聘されていた時代です。彼女の仕事に魅力を感じたのは、透明のテキスタイル素材を、現実的な機能を持ったプロダクトと芸術品としてのピースとの狭間にして、数々のプロジェクトを見出していることです。

筆者 : その後、オーセンティクス社より数々のプロダクトが商品化されていくのですが、アイヒェン氏は能力あるデザイナーに着眼されことに長けており、共に仕事をされたデザイナーは国際舞台で活躍されていらっしゃいます。そうした意味でも、アイヒェン氏は、Masayo AVEの工業デザイナーとしての可能性に誰よりも早くに気づかれたと思います。彼女のどのような側面に最も惹かれましたか?

アイヒェン : 私が、AUTHENTICS(オーセンティクス)のアートディレクションをしていた頃、仕事を通して共通点を持つ、世界各国の若いデザイナーを招待することに興味を持っていました。共通点とは、マスマーケットに対応できることや、新素材やテクノロジーをコンセプトに投影していることです。それらに強い好奇心を持ち、若くても創造力に満ちていて、キャリアの第一歩を踏み出そうとしているデザイナーに、私は最も興味を持ちます。
Masayoは、正にそれに当てはまる人材です。どこにも所属せずに自分の仕事を遂行してゆく柔軟な独立心があり、新素材を開拓する興味を持ち、ヨーロッパのあらゆる工業をリサーチして応用する力が備わっています。
彼女は日本に生まれながら、現在はイタリアに在住していますが、日本の伝統と西洋に啓発された教養を巧みにコンビネーションしています。また、彼女は建築家としてキャリアを築いてきたベースがあるので、エンジニアリングに興味を持つのは当然のことでしょうが、新素材の繊細さを展開して、多様なプロジェクトにイノベーションをもたらしています。
日本人には少ないと思われますが、私は、Masayoの正面からまっすぐに問題を定義し、相互理解の上に成り立つ解決方法を見出そうとするコミュニケーション方法が好きです。それは、デザインの新解決へのアプローチであるとも思われます。 【写真 5〜8】





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【 5 】 AUTHENTICS社のイメージを強く表現する AD HOOK(1998)

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【 6 】

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【 7 】




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