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12カ月のパリ
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 12カ月のパリ
 


第15回
Masayo Ave in France ── 前編
 update 2003.12.10

レポート : 浦田 薫 / アート&デザインジャーナリスト 




イタリア在住のデザイナー阿部雅世さんにとって、3年前までフランスは「未知の国」であった。しかし、ヨーロッパの中でも、イタリア国外では主にドイツ圏で評価が高かった阿部さんの仕事に、近年フランスが大きな興味を示し、展示会、ワークショップ、庭園プロジェクト、地場産業プロジェクトの機会が急速に増えている。

長いこと阿部さんの仕事について執筆したいと思っていた筆者だけに、今回は、ヨーロッパが、特にフランスがどのように、一人の日本人デザイナーを評価しているのか、阿部さんと関わった人々のインタビューを交え、フランスでのプロジェクト情報を中心にまとめてみた。

■ 出会い
阿部さんとの出会いは、2002年9月にパリで開催された、メゾン&オブジェの見本市会場であった。雑多な空気が漂う中、一際清楚で、シンプルなブースに誰もが足を止めた。「阿部雅世さんでいらっしゃいますか?」と以前からお会いしたいと思っていただけに、声をかけさせて頂いたのがきっかけである。
既に、阿部さんの作品は前年のVIA(フランス家具振興会)の展示会や、サンテティエンヌのビエンナーレ、もしくはデザイン誌を通して、フランス人の関心を集めていたであろうが、阿部雅世さんご本人に出会えるチャンスは、私と同様、この時がパリジャンにとっても初めてであったようだ。

2度目にお目にかかれたのは半年後の2003年4月、ミラノサローネの会期中。快く、日曜日の早朝のスタジオに迎えられた。

「フランスのショーモン市で開催される国際現代庭園フェスティヴァルのコンペに入選して、庭園まで造ることになりました」と、模型やドローイングを紹介しながら、「今年のコンペは‘雑草’というテーマでしたので、都市の中のもっとも感動的な自然の力、これは私にとっては、雨風にさらされた人工のコンクリートをひび割って、都市のあちこちに出てくる小さな緑の力なのですが、それをフランス中央部の自然の豊かな公園の中の坪庭として表現しようとしたものです」とコメントしてくれした。表現力が豊かで歯切れのいい阿部さんは話術が巧みで、こちらが伺おうとする内容を察知されるタイミングも抜群で、滑らかな対話が繰り広げられた。

このショーモン国際現代庭園フェスティヴァルは、2003年6月から10月まで開催された。阿部さんの作品SpinaSpacca(スピナ スパッカ)は、300平米の面積を有する庭園であり、フランスでの仕事の中では、一番規模が大きい。プロダクトデザイナーとしてのみならず、アーキテクトとしての側面を、フランスに紹介するプロジェクトでもある。 【写真 1〜4】







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【 1 】 ショーモン・シュール・ロワールで2003年6月から10月に開催された“庭園フェスティヴァル”より
ショーモン現代庭園プロジェクト
SpinaSpacca スピーナ・スパッカ
design: MasayoAve & Antonio Perazzi 2002

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【 2 】

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【 3 】

【 4 】




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