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3.5次元のMILANO
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第19回
再生と膨張

 update 2003.08.20
レポート : 佐藤 充 / 建築デザイナー  



【1】


【2】


【3】


【4】


【5】中央広場


【6】




現在、ガレリアに展示されている建築計画模型は4個あります。今回はそのうちの、Fieraと中央駅の計画をご紹介いたします。2つの計画は一つは新築、もう一つは改修計画です。 まず始めに、Fieraの計画をご紹介しましょう。皆さんもご存じかもしれませんが、現在、Fieraはミラノ市内にあり、地下鉄も通っていて比較的交通の便の良い所にあります。この現在の会場の他に、ミラノ郊外に新たな会場を設置しようというのが、今回の計画です。計画の設計者は、イタリア人建築家の Massimiliano Fuksas。立地はミラノから北西にあるPeroとRHOという場所で、地下鉄のLine1の終点から少し先に行った所です。2002年から2005年の予定で計画されています。【写真2】
さて、計画がどのように構成されているのかというとと、敷地面積は2,000,000平米、建築面積は53,0000平米。両翼に4棟、それぞれが約1kmほどの中央のアーケードで接続された、8棟のパビリオンで構成されています。【写真3・4】
この新たな会場には駐車場、レストラン、ホテル、店、緑の空間などが用意されています。


次に、ミラノ中央駅の改修計画をご紹介します。【写真6】

この建物もご存じかもしれませんが、現在のミラノ中央駅は Ulisse Stacchini により計画された、ウィーン風の建築物です。この建物は、もう70年も前から使用されていて、やっと今回改修を行うことが決定しました。この中央駅は32,000立米の石材が使用されています。今回の改修計画で、これは当然なことと言えますが、基本的事項として“再編成”と“修繕”という2つのキーワードがコンセプトになっています。そして、今回の改修は、内装がメインとなっています。
内装計画は地下、地上階、中2階、2階、最上階という構成になっており、地下は駐車場と地下鉄からのアクセス、1階はホールなど、2階はプラットホームとチケット売り場、最上階はオフィスとなっております。【写真7】

模型はスケール1/100で、2.65m×1.80m×1.10mです。【写真8】
改修計画の模型も展示されていました。【写真9・10・11・12】


これらの他にも、Scala座の改修などの計画も展示されていました。


ここ最近のミラノでは、多くの建築計画が進んでいます。その中でも、改修計画が多々あることは興味深いことだと思います。
以前Scala座の改修計画をご紹介しましたが、改修することによって、歴史的価値やその存在意義を、さらに理解させることが可能です。ただ、その工事が行われている間は、新築をした Alcinbordi(これも以前ご紹介しました)で公演は行われ、その地域の活性化を計る計画になっています。

ミラノの市内(旧市街地)においては、新たな新築工事がなかなか出来ません。色々な問題があるようですが、最も大きな原因として、法規上の問題で新築計画が難しいようです。逆に郊外に行くにつれ、その規制は緩くなっています。これは、この街の持つ構造上の特性とも言えるかも知れません。ミラノは Duomo を中心として、同心円で街が構成されています。つまり、古いものほど中心にあり、新しいものはその周りに造られているのです。これは歴史的にも言えることで、街の周囲を城壁で囲い外敵より街を守っていた時から続いている構造です。

ミラノという街は、永い歴史を持つにも関わらず、他のヨーロッパの大都市よりも規模が小さい街です。これは、私はとてもイタリア的だと思うのですが、とても“保守的”であると言えます(“保守的”と言うと奇異な感じを受けるかも知れませんが・・・)。

人の好みや生活習慣、時代感覚、その他モロモロが異なる現代社会において、保守的な一面を持つミラノは、改修計画と新規計画を同時に進行させ、再生と膨張を同時に行うという方法を選択したようです(これは当然の成行きかも知れませんが・・・)。







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