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第7回
( 2 )

スカラ座の改修
レポート : 佐藤 充 / 建築デザイナー 

去年の暮れでスカラ座がいったん休止し、長い期間の改修工事に入ってしまいました。オペラファンや、音楽を楽しみにしている人にとっては、ちょっと残念な事になっています。この改修は2005年までかかり、当分の間スカラ座とお別れして、アルチンボルトと言う場所で公演を行っています。この建物も賛否両論の物で、良くできたという人もいれば、デザイン性がなく最低だ、という人もいます。私の耳に入る意見としてはどちらかというと、後者の方が・・・・・
ともかく、場つなぎだから良いかな、という感じです。
今回は、そのスカラ座がどのように改修されるか、模型が展示してあるところをご紹介します。また機会を見てアルチンボルトの方もご紹介します。

この改修工事の模型が展示されている所は、ミラノ市営のインフォメーションで、スカラ広場からすぐの入り口にあるガレリアにあります。ここの場所は以前にもご紹介したあのガレリアで、観光で来られた方もほぼ間違いなく通過しているところです。しかし、そんな中心地にもかかわらず、このインフォメーションはあまり知名度がなく、中に入る人もあまりいません。

 模型のおいてある空間。

今回の改修は内装と外装の両方で、特に外装の改修に大きな変化があるように見受けられます。
これらの白模型は、外観の以前の姿から今回の計画の違いを見る簡易模型です。
この後ろからのアングルでは、計画が大規模で大きく変わるところが良く見て取れます。


この模型は現状です。

この模型は以前の計画で最終的に計画されていた姿です。

これは、今回の計画の模型で向かって右側の楕円形の部分に大きな変化が見られます。

次のアングルは正面計画です。地上階に近い部分はほぼ手を着けず、後方や上階の部分に変化があり、正面の良く人目に付く所は、以前の姿をあまり崩さないように計画されているのが分かります。これは昔の面影や歴史を重んじる国柄の現れでしょう。


現状の正面

最終計画案の正面

今回の計画の正面

前方上方からの写真です。このアングルからだと、全体が良く見て取れます。


現状の外観。少し煩雑な計画がなされているのが分かります。

それを整った形に計画していました。

この計画では大きく姿を変えています。

内部計画の模型です。
以前の模型がないためどのように変化したかは分かりませんが、断面中央の上下に空間のあるところが舞台です。その手前側が観客席です。舞台の奥手方向が舞台裏でその他が各控え室等の関係者の空間です。


断面模型。

外観も作られている。

スカラ座はこのように変わるのでしょうか。実は、私には分かりません。なぜならイタリアでは、工事を行いながら計画が進んで、最終的にできあがっていくと言ったような事が良く行なわれるからです。これは、無計画とか主体性がないとかではなく、その都度、最善と思われることを計画に取り入れ、流動的に物を進めて行く、というスタイルなのだと思います。また、このような計画を一般の人の目にふれやすい場所で(その場所をうまく利用しきっているかは、分かりませんが・・・)公開する事は、とてもすばらしいことと思います。また計画で分かるように、全てが前衛的なデザインではなく、過去のフォルムを元に作り上げていくデザインの仕方も、実にイタリア的であるといえるでしょう。このようにミラノにおけるデザインは、常に多角的に、複雑に、また、保守的でありながら新しい物を求めて行っているように感じられます。

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