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第10回 (2)
今後の交通事情?




2010年になると、次の4つがキーワードとして出てきます。源泉・柔軟性・快適さ・節制。この4つの言葉を元に、2005年より導入されて新たな息吹を発展させたものが、この2010年のプランです。2010年にはミラノ全体ではありませんが、車の進入を制限するために新たなシステムを導入しています。それは、人や物資を輸送できるビークルを導入し、外からのトラック等の進入を制限する、というものです。そのため、今度は人だけではなく物資等の移動も行えるように、車が目的ごとに変化するようなプランが提案されています。











2015年。この年のキーワードは、清らかさ・伝達・人間工学・知性。この年は、2010年の案を更に発展させています。2010年より導入した新交通手段を完全に整備し、外から入ってくる車を制限し、ミラノには一般の車は進入できないようになりました。ここでは新たなビークルは、Tram のような働きをする乗り物として投入されています。ここで完全に、ミラノにおいて移動できる手段が制限され、新しい都市交通手段が確立されました。











2020年。ここまで来ると、ほぼ大枠のシステムは完成されていて、それをいかに完全なものにするかが考えられています。ここで使われているキーワードは、極小・サービス・テリトリー・環境です。キーワードのように、この年では個人の移動手段として自転車のようなビークルが投入されています。












2025年でのキーワードは、相互作用・安全・自由度・着用性。この年には各個人が携帯用の送受信装置を持ち、その装置で目的に応じたモービルを呼び寄せ、自由にと市内を行き来できるシステムが投入されました。このシステムと以前より導入されたシステムが共存し、完全に都市内ではこれらの新しい移動手段以外は通行していないようになりました。











ここで一応の完成となり、この交通システムのコンセプトデザインは終わっています。ただ、私が思うには、都市とは常に発展し人が住むものであり、完全なシステムや完全な終わりはありえないとも思えます。
このコンセプトデザインは興味深く、内容も充実して見えました。それは、このように都市と人との関係を、国や政治委せではなく、産業やデザインの力で創造していこうとしているためだと思います。日本でもこのような事が実現すれば、かなり経済効果も期待できるでしょうし、諸外国からの目も高くなるのでは・・・。

2010年で使われていたキーワードに“節制と柔軟性”がありました。この2つはコンセプトデザインの中ではごく限られた意味で使用されていましたが、このキーワードはとても重要な言葉が含まれていると思います。“節制”と“柔軟性”。この2つの言葉の向こうに見られる“快適性”は、新たな価値観の“源泉”になる、と私は考えます。ちょっと話が違う気もしますが、例えるならば、今の時代では、たばこを吸うことよりも禁煙する人の方が多く、たばこを吸わない方が健康的でちょっとかっこいいような気がします。つまり、それが今の時代の価値観になっている、と言うことです。これらのキーワードは、次世代の価値観のヒントになるのでは、とも思えます。

デザインの分野から、モノを使用する側の価値観や、環境問題、経済効果まで影響を与えることができますし、デザインの分野だからこそできる未来の創造がある、と、改めて感じました。

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