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東京藝術大学


そしてまた朝、日の出とともに四本足の赤ん坊となり、昼、二本足の青年となり、夜、日没とともに三本足の老人となる。

荒川陽彦 / 建築科

台東区、谷中にある住戸に埋もれた四つの敷地。周辺住民にとってのもう一つの扉としての共有玄関となり、外から来る人々にとっての下町の断面図となる小さな文学館。下町の親密なコミュニケーション、協力的ルール、そのような意識のみが作り出しうるフィクショナルな共同幻想を、神話を埋め込む為の器とした作品。
— 我々は皆「自分が何者であるか」という事を知らない、という事を知らない。我々は皆多かれ少なかれ喰い殺された旅人である。
今日、人間という存在は知らず知らず、自らの存在を狭く、より狭く定義する為のありとあらゆる概念をまとっている。
一つの仮定として、そのような定義から自由な、「変身する人間」を想像/創造する。
なぞなぞでも比喩でもなく、我々は毎日、朝に赤ん坊であり、昼に青年であり、夜に老人である。
定義以前の、相対的に伸縮する時間と空間の中の、相対的に伸縮する人間と建築。

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