デザイナー山根敏史が選ぶ
ドイツのモノ・コト

山根敏史 プロフィール

「OPEN YOUR EYES INC」代表、オリジナルのアパレルブランド「FICOUTURE」「sofar」と、世界中からセレクトした生活雑貨などを取り扱うショップ「ROOT(ルート)」を運営。日本を代表するインストバンド「toe」のベーシスト。
http://root-store.com/

“クラフトらしさを残した、歴史あるブランドがドイツにはある”

フリーマーケットの戦利品

  • ドイツのフリーマーケットで購入してきた品々

僕は旅に出る時は、何かしら昔のものを買ってくると決めていて。現地で見に行くのはフリーマーケットが多いのですが、その情報だけは日本で事前に調べてから行きます。それ以外は上周りで行くか下周りで行くか程度で、大体グーグルマップで距離を計算して何日にはここ行きたいから、じゃあこの工程で行こうというのをざっくり決めてるくらいです。

僕がデザインしている「FICOUTURE」というブランドの秋冬のテーマがドイツで。今回、東ドイツ時代のモノとかをけっこう買ってきました。やっぱりお国柄というかすごい洗練されてる。いま見てもデザインのソースになるし。コースターとか、スタンプとか、東ドイツの警察のワッペンとか、安価なものから貴重なモノまでという感じですかね。フォントやグラフィックデザインはすごい参考になりますよね。あと、社会主義国のプロダクトは色合いとかが良い。

いつも旅行くときは 生地を仕入れるとかではなくて、カルチャーを見に行くという感じで旅してます。ドイツに限らず、色んなところに旅にいくと毎回買ってくるので、その度に戦利品が一箱ずつ増えていくっていう(笑)。

ターク

  • タークのフライパン

これはドイツ製ですべてハンドメイド。年間で600本しかつくらないそうです。料理をそんなにするわけではないんですけど、肉を焼いたりとか目玉焼きをつくるとすごい美味いんですよ。キャンプに行って使うことが多いですね。使い勝手はテフロンのフライパンのほうが良いんですけど、肉とかベーコンの塊を焼くと熱がちゃんと奥まで届くので、そこが全然違う。

洋服と一緒に売ってたらかっこいいなって思って、ウチの店(ROOT)でも取り扱ってます。でも、コレ手入れがけっこう面倒くさいんですよ(笑)。面倒くさいけど大事に使っていくことが重要かなって。キャンプが好きな理由もそういう部分にありますね。大手だとできないことを僕たちはやっていきたいし、ウチの店はいわゆるライフスタイル的な感じというより、もう少しコアなギアやツールをちょっとずつ洋服と一緒に提案していくことをしています。

ペトロマックス

  • ペトロマックスのランタン

こういうクラフトっぽさをしっかり残した、歴史が長いブランドがあるところとか、日本と似ているイメージがしますね。ペトロマックスも100年以上続いていますよね。昔からデザインの感じが変わってない。

キャンプに興味を持つようになったきっかけはウェアからで、けっこう旅をするなかでメリノウールの肌着とか保温性が高いし、ホテルで洗ってもすぐ乾くので愛用するようになって、そういう機能性に惹かれてキャンプ用具にもこだわりだしたというか。でも山登りとかぜんぜん好きじゃないんですよ(笑)。魚釣りとかも。基本的にキャンプしかしないので。

いまはランタンの燃料はガスかホワイトガソリンが主流ですが、ペトロマックスは燃料が昔から灯油なんですよ。灯油は安くて燃焼時間が長いから良いですね、そのうえめちゃくちゃ明るいんですよ。匂いは多少あるし、手入れにも手間がかかる、でもそうやって自分で育てながら使っていくのって、いまの世の中あまりないのかなって。ギターとかベースとかでも一緒ですけど、メンテナンスして大事に使っていくと、イイ感じに仕上がっていくじゃないですか。子どもはまだ小さいんですけど、親父がこういうの使ってると超かっこいいと思うんですよ。いつか二人でキャンプに行きたいですね。