あのヒトが選ぶ、BEST BUY 2017

山本千織が選ぶベストバイ
“プラスしながら、効率を上げていく料理”

圧力鍋

今までは小さいものを使っていたんですが、今年大きいサイズのものを買ったんです。特に威力を発揮した料理は秋刀魚の煮物ですね。魚は一晩圧を抜かないまま煮て、肉料理は最初に圧力鍋で柔らかくして違う鍋に移して仕上げていきます。でもベストバイと言いつつ、昔からそんなに圧力鍋を信用していません(笑)。ただ効率を考えたり、何かの時に「ああ、圧力鍋あって良かった…!」って頼れる存在です。

圧力鍋を使うのは、前日の夜が多いです。だいたい魚に使いますが、魚が来て、さばいて、圧力鍋に入れて味を決めて圧を掛けて…という工程です。以前は普通の鍋で調理していましたが、お弁当で骨が残ってしまうというのは良くないと思い、骨まで食べれるように今年は圧力鍋でまるごと全部食べれるようにしていましたね。

お弁当づくりは時間との勝負があるので、私は丁寧にというよりは限られた時間の中で早く量をつくっていき、かつちょっと面白いことをするというのを大事にしています。ケータリングの場合やお客様が少なかったりすると時間をかけて向き合いますが、きちんと決められた時間に100食など求められた数を届けるということが大事だと思っています。

いま本をつくっているんですけど、編集者に「手数を省いておいしい料理をつくる人が増えているけど、山本さんの場合はマイナスではなくプラスしていく発想だね」と、言われたんです。たしかに、簡単でおいしい料理を教えていくというよりは、変な工程をプラスして、いつもの料理がちがう風になっていくことをやりたいんだなと思いました。手数を減らしてというよりは、プラスしながら効率を上げていくということになるので、そういうときに道具を使うかなって。

■いま探しているもの・欲しいもの
フリーズドライの機械ですね。うちお弁当にスープをつけているんですが、フリーズドライのものを渡してその場でお湯を注いだら出来たてを食べれるし、親切じゃないかなって。ただ、けっこう高価なので元取れないなぁって考えているところです(苦笑)。

料理家 山本千織

北海道出身。東京・代々木上原で弁当店「chioben」を経営する料理人。雑誌『With』『GINZA』『装苑』、Elle onlineなど多くの媒体で紹介される。弁当の味とユニークさでタレントなどの指名も多く、口コミとSNSで評判を博す。弁当販売のほか、ケータリング、出張料理も行っており、食に関するワークショップなども開催する。『an・an』にて連載中。2018年3月には2冊目となる著書が発売予定。

https://www.instagram.com/chiobenfc/?hl=ja