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fromNY 海老原嘉子のニューヨーク・SoHo通信
SOFA NEW YORK 2012

Sculpture Objects Functional Art Fair ─ 現代工芸アート展

2012/08/08

レポーター:海老原嘉子

今年で15回目となるNY恒例のアートフェアSOFA(Sculpture Objects Functional Art Fair ─ 現代工芸アート展)が、Park Avenue Armoryで4月20日から23日迄開催されました。会場にはコレクター、キューレーター、建築家、インテリアデザイナー、アート・アドバイザー達が、インテリア、クラフト、アートの境界をなくして、感性豊かに表現するアーティスト達との出会いを楽しみに毎年やってきます。

今年は入り口に白い光りの長いトンネルがあり、その先に天体型の空間が広がっていました。天井からぶらさがる四角い布で作られた照明はインパクトがあります。会場デザインは建築家の「David Ling」。確かにこれだけ贅沢に空間を使って休憩の場を設けると、すべての価値観が豊かに贅沢に見えます。

プレヴュー・オープニング・ナイトは3500人以上のゲストで賑わい、David Lingの空間スペースを堪能しました。ギャラリー、アーティスト、専門家による、工芸・アートのレクチャーシリーズは毎日行われ盛況です。主な展示ギャラリーのオーナー達が、それぞれの得意の分野の話をしました。近年はジュエリーでもコンピュータを駆使してデザインする3Dプリンティング等のテクノロジーの発展で、ハンドクラフト=工芸という価値観を変える、新たな風をもたらしているようです。

会場へ続く白いトンネル
会場へ続く白いトンネル
建築家David Lingが会場デザインを手掛けた。四角い布で作られた照明が特徴的
建築家David Lingが会場デザインを手掛けた。四角い布で作られた照明が特徴的

今年のSOFAは、これまで最高売上げを保持し何年も出展していたブースが撤退したり、いつものすばらしいカタログが印刷されなくなったり、出展数も44ブースと少なくなりましたが、逆に各々のブースが大きく見えたように思います。入口のインパクトのある空間の効果かもしれません。

世相を反映し、いろいろな変化はありますが、それでもSOFAのようなトレードショーがなりたつのは、コレクターや住まいを彩るためのアートや工芸に関心の強いサポーターがいるからでしょう。日本のように大事なものは箱にしまっておくのではなく、アートや工芸が生活・社会に基づいている価値観の違いを、肌で感じるSOFAでした。

longHouse Reserveの特別賞
シカゴのFloating World GalleryがlongHouse Reserveの特別賞、ベスト・ブースデザイン賞を受賞。福本作品の藍染や深見陶治の彫刻など、日本作家の素晴らしい作品が広々としたブースに並ぶ
ベスト・アートワーク賞
ベスト・アートワーク賞は、ファイバーアートのトップディーラー、コネチカットのbrowngrotta artsで展示したSue LawtyのラインとDorothy Gill BarnesのHaystack River Basketの2点が受賞

次ページより、イベントの様子をたくさんの写真でお伝えします。

※表示あるものを除き、写真は全て海老原嘉子が撮影