蜘蛛の糸
photo by Sunhi Mang
蜘蛛は実にミステリアスな生き物である。足が8本で毛むくじゃら。その見た目の不気味さから、蜘蛛をきらう人は少なくない。しかし、蜘蛛が編み出す繊細で美しい糸の軌跡は、時に人を釘付けにする。蜘蛛がつくる大きな円網の幾何学的な造形美、あるいは霧の日の水滴を連ねた真珠の首飾りのような網の美しさに惹きつけられた、そんな経験を誰もが一度はしたことがあるのではないだろうか。このような蜘蛛のもつ怪しい魅力と象徴性、蜘蛛の糸の謎や神秘は、古くから芸術家たちを魅了してきたのである。
本展では、国内を中心とした江戸から現代の絵画、彫刻、工芸、写真、映像、絵本、インスタレーションといったさまざまな表現を、「蜘蛛の糸」というキーワードから広がるいくつかの視点から紹介し、その謎めいた魅力を探ろうとするものである。
蜘蛛/蜘蛛の糸を注意深く観察して捉え、記録、描写した作品をはじめ、蜘蛛の糸のイメージや要素を比喩的に用いたり、あるいは増幅、変容させたりして生まれた作品、蜘蛛の巣網のごとく複合的につながりあう現代社会を探究するような作品、そして芥川龍之介の『蜘蛛の糸』をめぐる作品まで、「蜘蛛の糸」というテーマから導かれ、展開する多様な表現に焦点を当てる。そこでは、この国独自の美意識や作家の豊かなイマジネーションが浮かび上がるとともに、私たちを取り巻く世界の見方について、さらには私たちの知覚をひらく新しい表現の可能性について、多くの示唆を与えてくれることだろう。
【関連イベント】
●講演会「クモの賢さと美しさ」
講師:奥本大三郎(フランス文学者、埼玉大学名誉教授、NPO日本アンリ・ファーブル会理事長、ファーブル昆虫館館長)
日時:10月29日(土) 14:00~15:30
会場:豊田市美術館 1階講堂
定員:172名
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開催期間 |
2016/10/15(土)~2016/12/25(日) ※イベント会期は終了しました
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時間 | 10:00~17:30(入場は閉館30分前まで) |
休館日 | 月曜日 |
入場料 | 一般1,000円/高校・大学生800円/中学生以下無料 |
参加アーティスト | 山本渓山、月岡芳年、鴨居 玲、草間彌生、塩田千春、浅野弥衛、岡本柳南 他 |
会場 |
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会場電話番号 | 0565-34-6610 |
会場URL | http://www.museum.toyota.aichi.jp/ |
詳細URL | http://www.museum.toyota.aichi.jp/exhibition/2016/special/kumonoito.html |