文化庁は、将来の日本の芸術界を支える人材を育成するため、若手芸術家が海外の大学や関係機関等で行う研修を支援する「芸術家在外研修(現・新進芸術家海外研修制度)」を1967年度から実施しており、まもなく半世紀を迎えようとしている。
また、そうした研修の成果発表の機会として1998年から「DOMANI・明日展」を開始し、今年度で第18回目を迎えた。会場の国立新美術館の天井高に恵まれた空間での大規模なグループ展に対して、必ずしもこうした空間向きではない作家やテーマでの展示の機会として、昨年度より「DOMANI・明日展PLUS」を実験的に開始。今年は神田にあるアーツ千代田3331にて開催される。
神田・秋葉原地域に密着した活動、そして元中学校を転用した空間、複数のギャラリーが共存するアーツ千代田3331での開催にあたり、選ばれたテーマは「ドローイング」。2000年前後から若手作家が自覚的に取り組み、積極的に発表するようになったドローイング。「下絵」ではなく、「発想の生まれる場」としてのメディアと位置づけ、作家の実践例をみていく。
出展作家は、いずれもこれまでに「在外研修」制度で海外長期滞在経験を持っている。櫃田伸也(1941年生、絵画:1979年度、パリ)、OJUN(1956年生、絵画:2007年度、アルゼンチン)、日高理恵子(1958年生、絵画:1995年度、ドイツ)、栗林隆(1968年生、インスタレーション:2014年度、インドネシア)、三宅砂織(1975年生、写真/版画:2015年度、フランス)という幅広い世代の5人だ。ともに日本画出身の日高と栗林はドイツ滞在で、現代美術領域に足を踏み出すきっかけをつかんだ。OJUNと栗林は長いドイツ滞在の後、「在外研修制度」で2カ国目―南米や東南アジアの文化体験の機会を得ている。
会期中には、「ドローイング」をテーマに、4名の出品作家による座談会を開催。「ドローイング」というテーマを通じて、多彩なキャリア、異文化接触の「かたち」を持ったアーティストたちと出会う機会となるだろう。
開催期間 |
2016/02/18(木)~2016/03/06(日) ※イベント会期は終了しました
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時間 | 12:00~20:00 |
休館日 | 無休 |
入場料 | 無料 |
参加アーティスト | 櫃田伸也、O JUN、日高理恵子、栗林隆、三宅砂織 |
会場 |
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詳細URL | http://domani-ten.com/ |