障害(仮)

障害(仮)

今日、「障害者」についての理解および人権の尊重は、以前とくらべて格段に進展してきています。また、障害のある人が生み出した創作物は、展覧会などを介して広く知られるようになりました。その一方で、メディアを通じ、「頑張る」「純粋」「天才」などといったステレオタイプな障害者像が、相変わらず世の中に流布していることも疑いのない事実です。

しかし、当然ながら、障害のある人たちの生き方は多様であり、そのような特定の障害者観にもとづいた語り方は、障害のある人たちの現実を適切に伝えているとはいえません。にもかかわらず、「障害者」に対する思い込みや期待、見るものを感動させ勇気づけようとするための誇張などに基づいた紋切型の障害者像は再生産され続けているのです。私たちは、こうした健常者中心の考え方に対して自覚的にならなければ、意に反して、障害のある人やその表現を排除することになってしまうでしょう。

そもそも、人の「心」は他者から見えません。たとえば、コミュニケーションに障害のある人と出会った時などに、他者の心の見えなさは強く意識されます。そのため、私たちは常に他者の内面を想像するしかなく、同じ人やモノに対しても、それぞれ異なる想いを持つことはよくあることでしょう。その想いはどれも「本物」ですが、一方で、どこにも本当の正解がないという意味では、私たちの日常は「仮想」に満ちていると言えます。このように「仮想」と「現実」の関係は表裏一体であり、それが人々の衝突を引き起こすことも少なくありません。それでも私たちは、それぞれの本当の想いを排除することなく、お互いを認め合い、今とは別の方法で他者を受け入れることが求められているのではないでしょうか?

そこで本展では、「仮想」と「現実」の間を往来しているような表現を一堂に展示します。私たちが「真実」とみなして疑わない日常の虚構性を明るみに出すことがねらいです。本展を通じて、仮想と現実の関係、ひいては障害/健常の境界に光が当てられ、新たな視点で日常が見つめ直されることを願います。

【関連イベント】
●対談 谷川俊太郎×櫛野展正
日時:11月20日(金) 18:30~20:00
会場:鞆こども園
参加費:2,000円(小学生以上有料)
定員:100名(要予約)

●ライブ 七尾旅人

※各詳細は公式ホームページをご覧ください

開催期間 2015/09/12(土)~2015/12/13(日)
※イベント会期は終了しました
時間 10:00~17:00
休館日 月曜日・火曜日(ただし、祝祭日は開館、翌日休館)、11/2、11/24
入場料 一般600円/小学生以下・障がいのある方無料
参加アーティスト 伊勢田勝行、小林一緒、高橋重美、福島 尚、市原えつこ、幻聴妄想かるた、三浦和香子、西川正之、あそどっぐ、武田憲昌 他
会場
  • 鞆の津ミュージアム
  • 広島県福山市鞆町鞆271-1
会場電話番号 084-970-5380
会場URL http://abtm.jp/
詳細URL http://abtm.jp/blog/323.html