「境界」 高山明＋小泉明郎展が、ゲストキュレーターに住友文彦を迎え、銀座メゾンエルメス フォーラムで開催されている。それぞれ独自の視点で現代社会に向き合う二人の作家は、自分と他者、過去と現在といった、境界に揺さぶりをかけて表現される新作を発表する。

住友は本展覧会において、近代合理主義が作りあげた集中や管理に対し、葛藤や違和感を覚える人々が増えている現代における新たな芸術の可能性を問いかける。

演出家である高山明は、舞台や客席、演者と観客といった従来の演劇を構成する関係を解体する実験的な試みを行っている。本展では、会場に仮想的な風景『ハッピー・アイランド――義人たちのメシア的な宴』をつくりだす。

小泉明郎は、2000年代よりパフォーマンスや映像による作品を制作している。本展のために制作されたヴィデオ作品は、人の眼には見えない人間の「記憶」のメカニズムを映し出そうとするものである。記憶とは、はたして自分自身で保持しているものなのか、あるいは他者や物を通して確認することができるのか。意識と深層心理、平静と混乱、自分と他者の間の揺らめく境界を、小泉は独自の手法で浮かびあがらせていく。