絵の住処-作品が暮らす11の部屋-

DIC川村記念美術館の展示室には、雰囲気の異なる11の部屋がある。これは所蔵作品にあわせ、大きさや意匠を変え設計したためだ。
印象派をはじめとするヨーロッパ近代絵画の部屋は天井がアーチ型で床はカーペット敷き、居間のような親しみと雰囲気のある空間を意識してつくられた。一番小さな展示室には17世紀オランダを代表する巨匠レンブラント・ファン・レインが描いた肖像画をひとつだけ。白い壁がすっきりとしたモダンな空間には20世紀初頭の抽象絵画を配し、シュルレアリスムやダダなどの作品には床と壁面をグレーで統一した内向的な部屋を設えている。
グループで見せる部屋のみならず、一人のアーティストに捧げられた展示空間では、より作品に合わせた設計がなされている。フランク・ステラの大型作品群には、大きな壁面と広い床面積が特徴の自然光が入る板張りの大空間が用意され、さながら作家の制作スタジオで初期から近年までの作品を一気に体験するかのようである。
また、DIC川村記念美術館のコレクションを代表するマーク・ロスコの連作「シーグラム壁画」(7点)の部屋は、各壁面に作品を一枚ずつ展示できるよう変形七角形に設計されており、壁のコーナーをアール状にすることで、赤い作品群が壁のように空間を包む効果が企図されている。こうしたオーダーメイドの展示空間は、作品の魅力を十分に引き出し、見る人と作品を緩やかに結び合わせる最適な場となっている。
本展では各展示室を巡りながら、あらためて作品と空間のしなやかな関係に注目する。会期中は、作品や建物にまつわるギャラリー・トークや講演会をシリーズで開催予定である。普段疑問に思っている美術館の不思議な謎が解けるかもしれない。
開催期間 |
2015/05/26(火)~2016/01/11(月) ※イベント会期は終了しました
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時間 | 9:30~17:00(入館は閉館30分前まで) |
休館日 | 月曜日(ただし、7/20、9/21、10/12、11/23、2016年1/11は開館)、7/21、9/24、10/13、11/24、12/23~2016年1/1 |
入場料 | 一般1,000円/学生・65歳以上800円/小中学生・高校生600円 |
会場 |
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会場電話番号 | 043-498-2131 |
会場URL | http://kawamura-museum.dic.co.jp/ |
詳細URL | http://kawamura-museum.dic.co.jp/exhibition/next.html |