
フェルディナント・ホドラーは、19世紀末から20世紀初頭のスイスを代表する画家である。パウル・クレーやアルベルト・ジャコメッティといった後続するスイス人芸術家とは異なり、ホドラーは生涯をつうじて母国にとどまった。大規模な室内装飾を数多く手がけ、身近なアルプスの風景を描きつづけた彼は、スイスではいまなお「国民画家」と呼ばれている。最近ではフランスやアメリカでも相ついで個展が行なわれるなど、その存在にはあらためて国際的な注目が集まっている。
19世紀半ばにスイスの首都ベルンの貧しい家庭に生まれ、若くして肉親や兄弟を失ったホドラー。その前半期の絵画には、とくに「死」や「憂鬱」のイメージがまとわりついており、そこにこの画家の不幸な生い立ちを読みとろうとする人々も少なくない。しかし20世紀への転換期を境に、ホドラーは「死」よりも「生」の絵画に目醒める。踊る人々の姿、そこに身体化される感情、それらが連鎖することで生まれるリズム。さらに、アルプスの山々や雲のような自然界の無機物にさえ、彼は生命感や律動感を見出した。「パラレリズム」(平行主義)という独自の美術理論を提唱した彼は、ただ眼に映る対象よりもそれらをつくり出す構造や原理にこだわり、ゆえに単なる再現的なイメージを超えた、世界の動的な秩序やリズムの抽出に向かったのである。
本展では、ホドラーの画業を丹念に跡づけると同時に、まさに絵画の「リズム」をテーマとしながら、その芸術をあらたに読み解く。こうしたテーマのもと、ベルン美術館をはじめとするスイスの主要美術館と個人が所蔵する油彩・素描など約100点によって、ホドラー芸術の全貌に迫る。
【関連イベント】
●講演会
会場:国立西洋美術館講堂(地下2階)
定員:各回先着140名
※聴講無料(ただし聴講券と本展の観覧券が必要)
「フェルディナント・ホドラー 世紀末の曙光」
日時:10月26日(日) 14:00~15:30
講師:水沢 勉(神奈川県立近代美術館長)
「踊る身体と絵画 ― 表現主義から抽象へ」
日時:11月15日(土)14:00~15:30
講師:田中正之(武蔵野美術大学教授)
「からだを動かすもの ― リズムと社会」
日時:11月29日(土)14:00~15:30
講師:伊藤亜紗(東京工業大学リベラルアーツセンター准教授)
「リズムの震源地 ― ホドラーの芸術思想とその余波」
日時:12月7日(日)14:00~15:30
講師:新藤 淳(国立西洋美術館研究員、本展企画者)
開催期間 |
2014/10/07(火)~2015/01/12(月) ※イベント会期は終了しました
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時間 | 9:30~17:30 金曜日は20:00まで(入館は閉館30分前まで) |
休館日 | 月曜日(ただし、10/13、11/3、11/24は開館、翌火曜日休館)、12/28~1/1 |
入場料 | 一般1,600円/大学生1,200円/高校生800円/中学生以下無料/心身に障害のある方および付添者1名は無料 |
参加アーティスト | フェルディナント・ホドラー |
会場 |
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会場電話番号 | 03-5777-8600(ハローダイヤル) |
会場URL | http://www.nmwa.go.jp/jp/index.html |
詳細URL | http://hodler.jp/ |