粟津潔は戦後の日本グラフィックデザイン界の先駆けであり、デザイナーの範疇におさまることなく独自のスタイルを貫きながら時代を駆け抜けた。昭和という時代がもつ雰囲気や空気を体現化した作品は、いまなお見るものに鮮烈な印象を与え続けている。その作品群は、建築・美術・映像・演劇・音楽・ロックアート（アメリカ先住民が岩に残した岩絵）・象形文字と多岐のジャンルを横断しながら、つねに－デザインに何が出来るか－を問い続けていたように見える。

今回、スタジオ35分の展示では、粟津潔の代表的なモチーフである、指紋／地形図／はんこ／海亀／顔のない人間、などが収録されている『粟津潔 原点画』（土曜美術社刊／1975年／限定500部／オリジナルポートフォーリィオ）の15点を軸に展開。線画や文字といった原点画を【モノクローム】編、原点画を応用したポスター、ブックデザイン等の【カラー】編と、展示を2期（6/15～7/2、7/6～7/23）にわけて展示する。“挑戦するデザイン”として色褪せることなく、私たちに訴えかけてくる粟津潔の世界をぜひご覧いただきたい。

協力:粟津デザイン室