デザインのチカラ/ JDN特集記事 by イマジカデジタルスケープ

若手デザイナーの感性から生まれる「LIFE STYLE PRODUCTS」

PLYWOOD TRAY／神原秀夫

SIWA・紙和　携帯電話ケース／深澤直人

── iidaの新ラインナップ2機種に合わせて、今年10月以降に順次発売が予定されている周辺アイテム「LIFE STYLE PRODUCTS」。
ACアダプターやイヤホン、ホルダーなど23種類が発表された。

「PLY」専用トレイ「PLYWOOD TRAY」と、「PRISMOID」用ケース「SIWA・紙和　携帯電話ケース」はそれぞれ携帯電話のデザイン同様、神原秀夫氏と深澤直人氏が手がけている。

── その他21アイテムについては、現在製品化へ向けて検討段階だが、起用された若手デザイナーの新鮮な感性に注目したい。参加デザイナーは、アラキミドリ、海山俊亮、角田陽太、勝間田慎也、熊谷彰博、倉本仁、関祐介、寺山紀彦、NODIGNER、橋本潤、参、松本直子、柳原照弘、LIVE FOR SWEETSの14組。

前回のiida展示発表会の際にはノベルティとして来場者に配られ好評を得ていた松本直子の「my dear」は、二つ一組の携帯電話クリーナー。今回の発表では、ストラップとしても機能することで、製品化に向けて一歩進んだ提案となっている。
パール感が効いた柔らかいカラーリングや、ストラップでは定番のヒモをあえて使わずボールチェーンにするなど、ファッション小物のようなデザインだ。

「鳥のデザインは恋人（つがい）を、うさぎは親子、ヒツジは友達をイメージしてデザインしています。大切な人と一つずつ持つことで、離れている間も気持ちが繋がる、というのがコンセプトです。単なるストラップではなくて、バッグにつけたり、ポーチに忍ばせてもかわいいように、ディテールにこだわりました」（松本直子）

── また、2008年に開催された「Mobile in Forest」展で発表した2アイテムがさらにブラッシュアップされているのが参（マイル）。携帯電話やイヤホンのコードをまとめる「wormy」は葉っぱの形をしたストラップ。「turf」は芝生のようなやわらかい突起が携帯電話を支えるトレイだ。

「森や植物といった自然をモチーフにしているので、二つとも緑色の濃淡など四季に合わせたカラーバリエーションで揃える予定です。wormyはコードを巻取った状態で胸元に下がっていてもいいし、使わないときはストラップとして携帯電話に付けておくこともできます。turfは、デスク上に芝生の一部分だけが見えているイメージを印象づけたくて、丸の一部を切り取った形状にデザインしました。携帯電話を使っていないとき＝休んでいる状態、でも何か物語性が生まれればいいなと思っています」（参）

── 今回、彼らに期待されたのは、若手ならではの柔軟な思考と繊細さ。インハウスデザイナーにはないアプローチで、携帯電話のある新しいスタイルを提案していくために、何度もブレストやワークショップを重ねてきた。今後も発売までにさらにブラッシュアップが繰り返されるという。独立して活動する若手デザイナーにとって、大手メーカーと組んでプロジェクトを進めるチャンスは、想像以上に少ないものだ。発売される製品に対してはもちろんのこと、KDDIのこうした取り組みが良い影響力を与える効果にも期待したい。