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かわいい仏像 たのしい地獄絵

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かわいい仏像 たのしい地獄絵

人々に守られてきた素朴で愛らしい仏と地獄の世界

発行 パイ インターナショナル
著者 須藤弘敏、矢島新
仕様 A5判型、192ページ
価格 2,500円(税抜)
ISBN 978-4-7562-4575-5

かわいい仏像 たのしい地獄絵

本書では国によって文化財に指定された仏像・地獄絵は1点も取り上げていない。国宝・重文に代表される、都でつくられた精緻で荘厳な仏像の対極にある、稚拙ながらも強い存在感を放つ地方仏。これらの仏師の手によらない民間仏は、岩手県・青森県に数多く現存する。

第1章では、仏像の決まりや彫刻の常識を欠きながらも、一生懸命つくられた個性的で愛らしい仏や十王、鬼の像を紹介。

第2章では、近世の地獄絵を取り上げる。寺社が上層階級の庇護を十分に受けられなくなった中世後期から、庶民への布教のための仏画が増えてくるが、それらはほとんどが無名の民間画工によるものだった。伝統的な決まりを重んじた仏画の中で、例外的に儀軌から自由でおおらかに表現された江戸時代の地獄絵は、仏典に説かれた地獄をベースにしつつもさまざまな信仰が盛り込まれていた。インド・中国・日本が混じり合った、日本人の他界観の終着点とでもいうべき内容。民衆に寄り添い、信仰の対象として愛され残ってきた、畏怖心を要求しない仏像や地獄絵を、大きな図版と美しい写真で紹介した1冊。

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