第18回 文化庁メディア芸術祭 大賞受賞作品

第18回 文化庁メディア芸術祭 受賞作品展

2015/01/22 UPDATE

大賞受賞作品はエンターテインメント部門がGoogle’s Niantic Labsの「Ingress」、アニメーション部門がAnna BUDANOVA氏の「The World」、マンガ部門が近藤 ようこ氏/原作:津原 泰水氏の「五色の舟」、アート部門は該当なしという結果だった。優秀賞はアート部門が5作品、他3部門は4作品が選出。新人賞は各3作品、功労賞は4名が選出された。ここでは大賞の3作品を紹介する。(上写真:昨年度[第17回]文化庁メディア芸術祭受賞作品点の様子 提供:文化庁メディア芸術祭事務局)

Vol.2第18回 文化庁メディア芸術祭 大賞受賞作品


エンターテインメント部門

「Ingress」ゲーム、アプリケーション

Google’s Niantic Labs (創業者:John HANKE)(米国)

『Ingress』は、現実の世界を、多人数の同時参加型ゲームへと変えるモバイルアプリケーションだ。GPSと世界地図のデータベースを使ってゲームの中の仮想世界を、現実の世界と融合して体験することができる。ゲームの設定では、街中のあらゆるところに「ポータル」と呼ばれる別の次元への入り口があり、ポータルからは「エキゾチック・マター(XM)」と呼ばれる不思議なエネルギーが漏れ出ている。このエネルギーにはクリエイティブで知的な力があり、ポータルにはパブリックアートや史跡、建築物など、歴史的・文化的価値のある現実の場が設定されている。ゲームのプレイヤーは、ポータルやXMを操る「シェイパー(形成者)」に対抗する「レジスタンス(抵抗勢力)」と、受け入れる「エンライテンド(覚醒者)」の二つの組織に分かれ、仲間と協力して地図上に組織の陣地を形成していく。『Ingress』を通して現実の世界を探検するうちに、他のプレイヤーと交流したり、世界中の文化的な価値が宿る場所にたどり着いたりすることが意図されている。

エンターテインメント部門「Ingress」
Photo: Google's Niantic Labs

アニメーション部門

「The Wound」短編アニメーション

Anna BUDANOVA(ロシア)

心の傷(英・wound)に苦しむ少女。その傷が少女の空想の中で、毛むくじゃらの生き物・ウーンドとして誕生するところから物語は始まる。かけがえのない親友として少女とともに成長していくウーンドは、彼女の頭の中にすっかり居ついて、段々と存在感を増し、やがてその人生を完全にコントロールするようになる。作者の幼い頃の記憶をもとに作られた本作は、数名の友人から成る少人数のチームで制作された。特に音作りにはこだわりがあり、独特なサウンドトラックを作るために、楽器以外の音源を用いるなどの工夫がなされている。少女とウーンドが繰り広げる、悪夢のようでありながらも美しい友情を描いた短編アニメーション。

アニメーション部門「The Wound」
©Ural-Cinema

マンガ部門

「五色の舟」

近藤 ようこ/原作:津原 泰水(日本)

津原泰水の傑作幻想譚が、近藤ようこの手によって儚くも鮮烈にマンガ化された作品。 先の見えない戦時下、太平洋戦争末期を時代背景に、見世物小屋の一座として糊口をしのぐ異形の者たちの哀切な運命が描かれる。主人公は、脱疽で足を失った元花形旅役者・雪之助、一寸法師だが怪力の昭助、結合双生児だったが手術を受けひとり蛇女として生きる桜、膝関節の障害を逆手に牛女となった清子、そして両腕のない少年・和郎の5人。彼らは古い舟を住処として、まるで家族のように暮らしていた。ある日、未来を言い当てるという怪物・くだんの噂を知った雪之助は、一座の仲間にしようと家族総出で岩国に向かうことに。くだんは既に軍の手中にあったが、目を合わせた和郎は、その日から舟で海原を漂い、離合集散を繰り返す一座の夢を見るようになる。これはくだんの仕業に違いないと確信した和郎だったが?。小説での発表も困難と目された原作に、近藤ようこが挑んだ奇跡のマンガ化作品。

『月刊コミックビーム』
連載開始:2013年8月号 連載終了:2014年3月号

マンガ部門「五色の舟」
近藤ようこ・津原泰水/ KADOKAWA刊

第17回 文化庁メディア芸術祭

INDEX

エンターテインメント部門新人賞 香月 浩一氏

VOL.1

エンターテインメント部門新人賞 香月 浩一氏

マンガ部門新人賞 阿部 共実氏

VOL.2

マンガ部門新人賞 阿部 共実氏

第18回 文化庁メディア芸術祭 大賞受賞作品

VOL.3

第18回 文化庁メディア芸術祭 大賞受賞作品

開催情報

第18回文化庁メディア芸術祭

お問い合わせ

文化庁メディア芸術祭事務局
[一般受付] 03-5459-4668(9時~20時)
http://j-mediaarts.jp/