第18回 文化庁メディア芸術祭 受賞作品展
2015/01/22 UPDATE
アート、エンターテインメント、アニメーション、マンガの4部門において優れた作品を顕彰するメディア芸術の総合フェスティバル「文化庁メディア芸術祭」。今年は世界71の国と地域から3,853作品の応募があり、受賞作品が決定した。2015年2月4日から15日まで、東京・六本木の国立新美術館を中心に開催される受賞作品展を前に、各部門新人賞受賞者からエンターテインメント部門の香月 浩一氏とマンガ部門の阿部 共実氏にお話を聞いた。
Vol.2マンガ部門新人賞 阿部 共実氏
― 文化庁メディア芸術祭にどういった印象を持たれていましたか。
阿部:国だなー。国がやってるやつだなー。ってイメージがあります。 漫画以外にも色々な分野が選出されてて刺激的ですね。
― マンガ部門新人賞を受賞された率直な感想をお聞かせください。
阿部:光栄です。ありがとうございます。
― ご自身の考える今回の受賞作品の魅力についてお教えください。
阿部:前向きで立派なキャラクターでつむがれる素晴らしい漫画がたくさんあるので、たまにはこういった漫画があってもいいんじゃないでしょうか。
― 立派なキャラクターではなく、むしろ「足りなさ」と向き合っているキャラクターが主人公で、「足りなさ」を感じやすい中学生たちが描かれています。阿部先生にとって「足りなさ」とはいったいなんでしょうか。
阿部:多分どんな人や子供でも、抱えてると思います。
― 阿部先生が中学生の女子の心境を鋭く描けるのはなぜなのでしょうか。
阿部:いまどきの本当の女子中学生がどうなのかわかりませんが、誰しもこういった劣等感や嫉妬などそういった部分はあるとおもいます。
― そういった部分を描きたい、そういった部分の意味を編み直したいというように阿部先生が思われていると感じるのですが、そのモチベーションはどこから来ているとお考えでしょうか。
阿部:生活に身近なことだからじゃないでしょうか。
― 受賞作品展の来場者へのメッセージをお願いします。
阿部:この会場でしか展示されないものがあります。よろしくおねがいします。
「ちーちゃんはちょっと足りない」阿部共実(日本)
成績、お金、恋人、友達……いつも何かが足りない気がする中2女子のちーちゃんとナツ。二人はクラスの中で成績優秀な友達・旭や、学級委員に助けられながらも、フツウの日々を送っている。そんなある日、ナツとちーちゃんは学校帰りに寄ったお店で、クラスの目立つグループの女子から「万引きしねえ?」と声をかけられ―。平凡な中学生活は、ふとしたことで揺らぎ始める。いつも何かが不安で不満、そんな自分たちのような小さな存在がとても美しいと感じられる日もあれば、ため息をつきたくなる日もある。希望と絶望が交錯するナツとちーちゃんを通して、「生きること」が正面から描かれる。
エレガンスイブ増刊『もっと!』
連載開始:2号 連載終了:7号
阿部共実/ABE Tomomi
『週刊少年チャンピオン』(秋田書店)の第74回新人まんが賞に入選した『破壊症候群』でデビュー。代表作に『空が灰色だから』(全4巻)。現在はマンガサイト『Championタップ!』(秋田書店)にて『死にたくなるしょうもない日々が死にたくなるくらいしょうもなくて死ぬほど死にたくない日々』を連載中