2014/04/23 UPDATE
コンマ単位はコミュニケーションのきっかけ
この鉄鍋ではペーパーモデルやスチレンモデル以外に、3Dプリンタでも実寸モデルを制作しました。樹脂なので実際に持った感覚は軽いけれど、ディテールがかなり再現できているので、確認できる部分がたくさんありますね。製造の現場との意思疎通もしやすくなりますし、質感や手の馴染み具合などもわかってきます。
3Dプリンタで出力した後も、Vectorworksでさらに修正を加えていきます。その時は必ずプリントアウトした図面にどこを修正したのかを赤で強調しておきます。データだけ送って、どこを修正したのか気づいてもらえないと危険ですから、いつも少し気を使いますね。付き合いが古い職人さんとは、阿吽の呼吸で言葉だけで通じることも多いのですが、だからこそ、あえて0.5ミリ単位で図面を修正することもあります。実は、そう書き込むと嫌な顔をされますし、「なぜ?」って聞かれたりします。でも、そこでようやく話がはじまるんですよね。
たとえば角に3Rを取るという指示は一般的なので、現場はスムーズに進みます。でも、木工だとサンドペーパーをあてるだけ、建築だと鉋をあてるだけなんてことも多いんです。つまり、実際にはRになっていない。そこで2.5Rという指示を出すことで「すっきり見えるけれども、指をかけたときに気持ち良いRにしたい」という信念を伝えたいのです。
「鉋でただ削っただけのRが欲しいんじゃないんですよ」と分かってもらいたい。だから、実際に2.5Rになってなくてもかまわない。 デザイナーによって、こだわりのある箇所は違うと思うので、自分がどこにこだわるのか、それを伝えてコミュニケーションをとることが大切です。
Vectorworksは
正確な情報を伝える大切なツール
事務所では1990年代後半くらいからMiniCAD(Vectorworksの前身ソフト)を導入していました。Vectorworksを使い始めた当時は、WindowsのCADと比較して、Macで十分使いやすいものとして選んだ記憶があります。手描きの頃から立体感を出すために図面に色の濃淡をつけたりしていましたが、Vectorworksを使うことで手描きの感覚が制限されたことはありませんね。僕にとっては、描いている表現に影響しない最適な存在。メーカーの担当者や職人さんに対して正確な情報を渡すという意味で、大切なツールです。
最初のデザインイメージを伝えるには絵の方がわかりやすい場合もあるので、設計図の数字だけに頼らないで、できるだけ分かりやすく、製造現場で勘違いが起きないように配慮しながら線を引いていきます。もちろん、“図面ありき”ではありません。まず形を作り、それを計って図面に落とし込んでいく。立体を手で触って、目で見て、ボリューム感を体感しながら形を導き出すプロセスが、プロダクトデザインには不可欠です。
鉄鍋は年内の発売を見込でいます。僕らもメーカーも、良いデザインは良い状態まで到達してから発表する、という心づもりで進めてきました。製造方法だけでなく、期日にも無理をすると、完成度に影響しますからね。最善なデザインを完成させたら、改めて発表させていただきます。
Vectorworksの2D/3D基本作図機能を搭載したベーシック汎用CAD「Vectorworks Fundamentals」、建築・BIM支援CAD「Vectorworks Architect」、造園や緑地計画用の「Vectorworks Landmark」、舞台計画やステージ&ライティング計画などに適した「Vectorworks Spotlight」、全ての機能を搭載した最上位版「Vectorworks Designer」、さらに各シリーズには、高品位レンダリングと関連するビジュアライズ機能を搭載した「with Renderworks」シリーズが用意されており、利用用途に合わせてお選びいただけます。
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