伝統と革新のデザインの融合
ドイツのコンテンポラリージュエリーにみるクラフトマンシップ
2012/04/25 UPDATE
Vol.3機能と造形美を一体化 ジュエリーの新しい価値観
Niessingではジュエリーを製作するにあたってそれぞれにコンセプトを設定し、それを具現化するために毎度技術の選択が行われている。「Performance」は、リング外周に純金を使用している。純金は金属の中でもやわらかい部類であり、リングとして使用する場合は適当な硬度を得るために他金属と合金することが一般的である。しかし、このリングではそのやわらかいという特性をデザインとして活かしている。永く着け続けているうちに純金部分には当然ながら傷やヘコミが生まれる。しかし、それはリングが着ける人によって様々に表情を変えることを意味し、結果誰のモノとも同じではない唯一無二の存在となってくれる。「ジュエリーが身に着ける人の美意識を雄弁に語る」というジュエリーと人のコミュニケーションを提案するNiessingの理想の姿が、まさにこのリングには込められている。
つけ続けるうちにつく傷やヘコミは、すなわち「人生のアップダウン」の象徴。永い人生において、良いことも悪いこともそのすべてがふたりにとって実りであり、それがやがてふたりにしか辿り着くことのできない家族の姿となるのだ。内側には硬質プラチナが使用されているが、これはどんなに表面的に変化しようとも、決して変わることのないふたりの深い絆を現している。これらの表現は、1975年に発見したゴールドとプラチナの溶接技術があればこそ。コンセプトの明確な表現を可能にする高い技術力がジュエリーの新しい価値観を生み出している。