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12カ月のパリ
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第19回 (2)
SiloDesign





なぜ、企業の設立にこだわったのですか?

「サンテティエーヌ美術大学を卒業した2000年、右も左も分からず、色々なデザインオフィスやデザイナーを訪ねました。雇ってください!とお願いして多くのデザイナーにポートフォリオを見て頂きました。しかし、“君は、アイディア旺盛なのだから、雇用された立場で仕事をするには向いていないと思うよ。自らの企業を設立するべきだよ。”という反応ばかりでした」

若干25歳で、このような反応をどのように消化できるのか、興味深いところである。

「こうした反応は、僕にとってはとても刺激的でした。名だたるデザイナーの言葉だったから有頂天になった訳ではありません。僕の中にあった迷いが払拭されたのです。最初は、むろん訪問した先々で、なぜ断られてばかりなのかと悩みました。しかし、冷静に考えてみて、僕の性格や考え方を、一企業のために集中して注ぐことは不可能です。そこで、決心がついたのです」

デザインオフィスを設立したことで、デザイナーの地位を確立した意味ではない。多くの課題を抱えて、これから出発するためのパスポートを手にしたのである。

デザイナーとしてのアイデンティティーは何ですか?

「現段階では、2度の国際見本市メゾン&オブジェを通してプロダクトが製品化され、流通がはじまったばかりです。市場の力を目の当りにしながら、消費者の意見も取り入れています。しかし、全ての人に好まれる商品は存在しないのですから、アイデンティティーを保つことは非常に大切です。消費者との摩擦は、創作に反映できる大事な要因でもあります。半年経過したデザインは、既に古いと思われる時代です。“存在する意味があるプロダクト”を、短縮されたサイクルの中で絶えず考え、製品化に結びつけていくことがデザイナーの任務です。
最も大切にしていることは、“謙虚さ”“素直さ”です。プロダクトや消費者に対してという意味よりは、これは僕自身に対して素直でいられるかということです」

ロマンは、インタビューに応じながらも、自問自答するかのように話す。自ら、支離滅裂な発言と先ほども述べていたが、他の表現で例えると、言葉を沸騰させ、ろ過したものだけが残る蒸留作業を連想させる。

デザイン活動の原動力は何ですか?

「こうみえても、少年時代はとても物静かだったのです。周囲が話すことを聞く立場にいました。そして、人々は何てくだらないことばかり話すのだろうと感じていました。たわいもないことを口にすることは無意味だと思っていました。それは、僕自身、面白いと思うことが少なかったせいかもしれません。しかし、いざ、面白い出来事を友人に伝えようと思った時に、それが伝えられなかったときほど大きなショックはありませんでした。コミュニケーションは、生活に不可欠です。今の仕事に置き換えていえば、考えを発信するために必要な道順を探す姿勢を失わないことです。活動の判断基準に、可能か不可能という選択肢を持ち込みません。全ての創作活動は、何を相手に伝えたいのかがポイントであるからです」

沈着冷静であるために、年齢は関係ない。
ご両親の強い意志により、ロマンは中学校に進学するまで、一般の学校教育を受けていない。13歳にして初めて知った中学校で、先生が一方的に知識を植えつけようとする行為に反発した。意味も理解せず、知識を丸暗記する他の友人たちにも疑問を抱いた。10代にして、「なぜ?」という疑問詞と出会ったのだ。

デザイナーとして歩み始めたロマンを構築するパズルの破片は、まだ全ピースが揃っていない。限りなく広がる可能性が浮遊する世界を、ロマンはやっと歩き始めたばかりである。

サイト http://www.silodesign.com(英語バージョンも間近)
連絡先 contact@silodesign.com







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キャンドル

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伸縮性に富んだLycra素材+ニッケル仕上げフレーム+コンパクト蛍光ランプの照明器具「Eclipse」

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部材は平面から立体になり、着脱式なのでカバーも洗濯できる

※画像は全て SiloDesign
写真家:Christophe SACHS


「Eclipse II」システムは応用される
「Dune」
「Agmos」と「Aktos」は、カバー(5色)をソックスのように着脱できる
「Aktos」






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