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12カ月のパリ
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 12カ月のパリ
 


第19回
SiloDesign

 update 2004.03.10

レポート : 浦田 薫 / アート&デザインジャーナリスト 




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「常にアイディアマシーンのように、止まることはありません。」と語るRomain GAUTHROT(ロマン・ゴトゥロ)のデザインオフィスの名前は、SiloDesign(仏読み:スィロ・デザイン)。サイロの中から湧き出るようなアイディアとパワーを意味する。

初めてロマンに出会ったのは、2003年9月、SiloDesign設立した直後のことであった。デザインされたガラス容器や照明器具の一連は、モノの存在や使い方を研究家の観点からみつめている。商品としての結果ではなく、プロセスやオリジンを意識した姿勢が既に感じられた。

2004年2月24日、ロマンが快くインタビューに応じてくれた。

「去年の9月の見本市は、自らのデザインを世に紹介し、それをバイヤーが買いにくるという初めての製品化への試みでした。何がおこるか分からない新たな旅の始まりでした。結果的に多くの協力者に支えられて今に至っています。今年の1月の見本市も満足できる内容でした」

会社設立1年未満で、現実と体当たりしながら、その一歩一歩を確実に自分の力にしている姿勢が、その口調から伝わってくる。

「僕の話は、支離滅裂な場合が多いのです。話していると、そこからどんどん飛躍していくのです。でも、逆にどうしてそのような経緯になったのか、辿って原点に戻ることも苦になりません。これは、いつの間にか身についた僕の思考回路なのです」

あたかも、数年間のキャリアを積んできたかのように、臆することなく自分をさらけ出す。

今日、フランスにおいてデザイナーであることは、どんな意味を示しますか?

「これは、世界に共通することだと思いますが、大スターはいらない時代です。僕は、学校に在籍している頃から、学校課題と課外活動の2足のわらじをはいていました。ギャラリーラファイエット(デパート)のイベント演出のプロジェクトに没頭していて、ランス美術大学を退学させられました。その時、校長先生から“学校と仕事、どちらが大事なのか?”と質問され、困りました。僕にとっては、その当時から学校という教育の枠組みも、プロと関わる時間も、同じように必要だったのです。抑圧された物事の見方・考え方の中では、クリエーターは育ちません。その後、サンテティエーヌ美術大学でデザインの勉強も続けますが、ディプロム取得後、ギリシアのガラス工場で実際にガラス技術を学びました。しかし、ここで、言語の壁にぶつかりました。デザイナーとして、職人に詳細を説明したいのですが、その微妙な表現がなかなか伝えられないのです。今よりも若かったので、忍耐もなかったのかもしれませんが、デザイナーの仕事は、職人や工業との協力関係を無くしては成り立ちません。そこで、はっきりと感じたのです。やはり、母国語の通じるフランスで自分の企業を設立しようと」





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ガラスブロックを衣服用のホックで止めた照明器具「Ikar」

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容器に注がれた液体が無重力状態になるガラスコップは、保温効果もあり、外面に熱を伝えない 高さは7,9,12センチの3種類がある

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「パイレックス」ガラスを使用したコップ

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2004年1月に発表したサンド仕上げのコップ「SiloLine」



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