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ミラノ - Life is design -
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 ミラノ - Life is design -
 


第12回 (2)
イタリアン O・RI・GA・MI





この工房では、土曜・日曜にコースを設け、一般の人に折り紙などを教えている。ルイーザさんに協力している講師メンバーは現在16人にもなり、その中には書道を教える日本人のMaki Yoshimoriさんの名前もある。取材に訪れていた間にもコースの問い合わせへの電話が入るなど、イタリア人の間にも「折り紙」が密かに浸透していることに驚かされてしまう。コースの方は、日本でいうカルチャースクール的なものだが、日本でも「折り紙」というタイトルのコースはあまり多くないと思う。日本の文化である折り紙が、イタリアでイタリア人の手で教えられていることを嬉しく思ってしまった。

訪れた展示会の期間は、彼女の作品はもちろんのこと、フェルト素材を使用したかばんやアクセサリー、小物をデザインしているフィンランド出身のTiina Arrankoski(ティーナ・アランコスキー)さんの作品も多く展示されており、クリスマス前という時期と素材の持つ暖かいイメージがぴったり合わさって、訪れた人の興味を惹きつけていた。会場となった工房の中はほんわかとした空気に包まれており、仲のよい友人宅を訪ねたように、気取らない、それでいて新たな発見が出来る場所になっていた。最終日の夜遅くにも友人が訪れるなど、彼女の人柄の良さが感じられた。

彼女にとって折り紙の魅力とは、一枚の紙を折り曲げることだけで形が作られていくことが、技術という本質の上に成り立っていることだという。平面と立体が織り成す形の無限性に魅了されている、と語る。ルイーザさんはまだ日本を訪れたことがないという。日本の何処を訪れたいかと聞くと、「和紙を作っている産地を是非訪れてみたい」とのこと。手漉きの和紙の現場を見てみたいと語ってくれた。日本はまだまだ遠い国のようである。

余談ではあるが、彼女に取材をする前の週、ミラノはストライキの嵐。公共交通機関が予告なしの24時間ストライキを2日間行ったため、市内の大パニック状態。当初は一週間続くかとも言われていた。市内には勤務先に延々徒歩で向かう人達と大渋滞の車の姿が残った。日本では最近はなかなか行われることがないストライキ。ここミラノでは日常茶飯事である。クリスマス前の土日にもあった程である。そんなことからも、遠く離れた両国の違いを改めて思い知らされる。

今では、イタリア語の中にも「オリガミ」という言葉は存在する。スシ・テンプラなどの日本固有の言葉と同様にイタリア語になっていて、「折り紙」のイタリア語も「ORIGAMI」である。ただ、この単語は、実際には全ての人が知っているとまでは普及していないのが現状だが・・・。 日本の状況とはちょっと異なった形で、イタリアに日本文化が紹介されることは多いが、この折り紙のように、伝統の形プラス新たな形として発展していくものが紹介されていくことはとても嬉しく思う。日本を離れていると、なぜか日本のものを発見するたびに懐かしさを感じると同時に、新鮮さにハッとすることが多い。その形が、肝心の日本の中で失われていくことが無いことを祈りながら、今年第一回は海外にみる日本の文化の一つからレポートした。







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【 9 】 フェルトのアクセサリー。いくつかのカラーバリエーションがある。


【 10 】 フェルトのバッグとアクセサリー。

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【 11 】 フェルトの帽子。クリスマスをイメージさせる星がついている。



【 12 】 色違いのキーホルダー。イタリアでは不可欠なものの為、こんな形なら持っていても楽しそう。
【 13 】 おとぎの国にありそうなフェルト素材の靴。
【 14 】 フェルト素材の作品とアクセサリーの展示。
【 15 】 フェルト素材の作品。小さい方は中に石が入っており、ペーパーウェイトになる。




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