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ミラノ - Life is design -
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 ミラノ - Life is design -
 


第3回
紅茶のART、CHRISTINE DEFORGESの作品より

 update 2003.03.26
レポート : 上田敦子 / インテリアコーディネーター 



組み合わされた紙の上に更に糸を縫いこんである。


まるで日本のすだれのように見える。縦横に組み込まれたもの。


重なることで出来たしわと濃淡によりデザインされたモジュール。


こよりにした紙を手で編みこんで作られたカゴ。




彼女と彼女の作品に出会ったのは、ミラノで昨年10月に行われたMOSTRA(展示会)であった。ミラノのコルソガリバルディの通りに面したその場所は、帽子と洋服を作っている日本人デザイナーのスタジオでもある。“Get Going per la settimana della Moda”というタイトルでの Chinatsu Shimizu、Keiko Sugihara、Flora Caroli そして Christine の4人の展示会であった。私はそこに知り合いの誘いで訪れたというわけである。

展示会を行ったその場所は、普段は洋服や帽子を作っている日本人デザイナーの作業場でもあり、夏休み中をかけて中を改装し展示会も出来るようにした場所で行われていた。初めて彼女の作品を見たとき、温かみのある素材、柔らかなその紙と紙の重なり、しわが作る独特の素材感と素朴さが不思議に作り成すアートに魅了された。最初、素材は和紙かとも思ったが、少し違うようであった。後から聞いてびっくり。なんとその紙のように見えた素材は紅茶のティーバックを使っていたのだ。そういえばその色彩は故意に作られたものではなく、ごく自然にできた色であることに気が付かされた。頭の中で置きっぱなしにしてあった紅茶のティーバックが乾いた時の映像が映し出される。そう、あの色である。思いもよらなかった材料であった。紅茶のティーバックとは・・・。

彼女に取材を申し込むと快く受けてくれ、今回自宅である仕事場を見せてもらった。ミラノの郊外にある彼女の自宅は1階と2階から成る。その2階が彼女の全てがある場所である。壁にはタペストリーのように作品が飾られ、窓辺には作品のパネルを通して柔らかな光が差し込んでいた。作品を解説してくれる彼女は、一つ一つのその作品を最初のコンセプトなども合わせて詳しく語ってくれた。

作品に対して大切にしていることは?という質問に、光を通すその透明感とモジュールであるという。素材は一つ一つが少しずつ異なり、二つとして同じものがない。素材と素材が重なることによってできる濃淡、しわ、光を通し、重なり合うことで生まれる新たな色彩、それら全てが一つずつの作品の原型となる。その半透明な素材感、柔らかい色調に彼女の持つ温かさが感じ取れる。一つ一つの作品そのものも、それ自体で充分魅力的なのだが、作品を光に通してみると又違った表情が生まれ、更に輝きを増すのである。それが彼女の目指すところのものなのであろう。

現在彼女が進めているデザインは、紅茶の紙素材の上に別の紅茶の紙を重ねるといった物で、これをベースのモジュールとしてまた新たな作品に仕上げていきたいと、その意気込みを話してくれた。作品を語るときの彼女の口調、表情は柔らかく、そして芯のある強さのようなものが感じられた。

彼女の使う素材自体考えてみると、一つのリサイクル活動でもある。紅茶を飲みながらこのアイデアが浮かんだというのだが・・・。紅茶を飲んだ後のティーバッグ、そしてティーバッグの糸までも作品と化す。彼女に「あなたの作品はリサイクル運動みたいね。」というと笑って「そうよ、捨てる物はないのよ。」と笑顔で答えてくれた。






小箱の中に落ち葉の宝物が隠されたようなデザイン。


一つの素材の上に形の違うものをあわせたデザイン。


窓辺に飾ってあったパネル。一つ一つデザインのちがうモジュールが組み合わさっている。



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