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第14回
その向こうには・・・




Antithese (アンチテーゼ)
さて、Antitheseというほど対象と言えるかどうか分かりませんが、私はこのイメージを持ってある事柄を読み取ってみようと思います。それは1950年代の建築物で、“Torre La Velasca (ベラスカの塔)”といわれるものです。少しこの建築物のご紹介をいたしますと、58年竣工のSRC造の建物で、地上28階地下2階建て。BBPRという人たちの設計によるものです。この建物は1階から18階まで事務所として使用し、19階より上を住居として使用しています。





地上階にはテナントや喫茶店が入り、私が行った時にも大勢の人がひっきりなしに出入りをしていました。

建物内部の事務所内や住居区内の撮影も行いたかったのですが、セキュリティーの関係やプライバシーの関係で出来ませんでした。公共空間のホールは撮影が出来たので、そのイメージを掲載します。





Seem
これらは皆さんもご存じかも知れませんが、もう少し説明しますと、このVelascaの塔の設計集団は4人の建築家で構成されています。Gianluigi Banfi、Lodovico di barbiano、Enrico Peressutti、Ernesto N Rogersの4人です。彼らのデザインコンセプトを要約しますと、“デザインとは有用性と美しさの結びつきである。プロジェクトには実行可能な技術と合理性、革新的なものと前存の環境の関係が必要である。建築とは工事現場だけで実証される経験豊かな経験と理論の場である。”と、いうことです。このVelascaの塔は、ゴシック建築の上に伸びていく感じを、SRC造(鉄骨鉄筋コンクリート構造)という新しい技術と、飛梁などを利用して建築されています。
前述した“モードと出会うミラノ”の講演で、“芸術とモードの対話は本当に可能なのか?”というテーマについて、Aldo Mondino氏がこのようなことをいっていました。”ブレードランナーという映画を見ましたか? この映画で使われている衣装を見ましたか? この映画のアンビエンテを見ましたか? この映画では近未来的な環境に現代のエッセンスを使用している”。また、このイベントのパンフレットには、次のようなことが書いてありました“モードの祭典はモデルが通る花道から始まった・・・次にあるステージから糸を抜いている・・・”


Gather (ギャザー : 推測する )
話をまとめてみたいと思います。まず、‘These’で紹介したモードには、50年代風のデザイン要素があるように見えます。KENZOのスカートの裾の感じや、Versaceの色使い。FENDIの雰囲気などなど・・・。また、‘Antithese’では、ゴシック建築という過去の要素とその当時の最新技術の融合が見受けられます。この2つの要素で共通している事柄は、過去のデザインのリバイバル、というか再利用。このエッセンスの利用は常套手段であり特別な事ではありません。しかし、Aldo氏の言葉やイベントのパンフレットに書いてあった台詞と、BBPRのデザインコンセプトは、異なるのコンセプトなのに、手段として似たようなことを言っています。未来のエッセンスの抽出と過去のデザインの利用、現在と過去と未来の架け渡し、という事でしょうか。
現在のデザインの主流はどこにあるのかと言う問いはとても難しく、答えはなかなかでないと思いますが、私は色々な所でそれぞれがコンセプトを持ち、様々な手法が乱立しているように思っていました。しかしこの2つの事象は私に奇妙な事を気付かせてくれました。それは、この先の数年後の近い未来にある風景です。今年のモードの流行は50年代風。50年代とは皆さんもご存じでしょうが第2時世界大戦後の時代です。そして今年は、本当に始まるかどうか分かりませんが、第2次湾岸戦争目前。モードの世界が時代の先端を読む力はとても早く、そして的確です。近未来のエッセンスとして抽出したのが戦後の様子であったとしら・・・・。ただの偶然や私の思い過ごしかも知れませんが、時代の考えがとても似通っている現代では、‘遠からず近からず’ということかも知れません。皆さんはどう考えますか?



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