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第13回 (4)
Macef 春 2003




今回の Macef が大きく変わった理由は、Asia館が出来たことです。入り口が変更になったのも、このAsis館が前回の入り口の近くのパビリオンに設置されているからです。
Asia専用のパビリオンは、Asia のメーカーがまとまって出展していました。
しかし、ここでも何か雰囲気がおかしく、全体のバランスがミスマッチというか、何かそのような感情にとらわれました。

香港やフィリピン、タイ、中国などがありそれぞれの国が出展していましたが、日本のブースはわずか1ヶ所あっただけでした。タイ、フィリピンなどはその国の色が出ているものを置いていましたが、流石というか、中国はいろいろ雑多なものの店が出展されていました。しかしどう見てもコピーをしたようなものだったり、ヨーロッパのタペストリーを置いてあったりと、何でもござれ的です。
中国といえば世界規模で見ても大きなマーケットで、経済も発展してきてこれからという感じですが、生産するものやそのモノを作る(デザインする)思考というものは確立されていないように見えました。ここで見ても、もうひとつ、と言わざるを得ない感じでした。

わが日本は、ここの専用パビリオンではなく、モダンデザインのほうに出展していた企業がありました。また、傾向を見ても、日本的デザインや日本人デザイナーは、ウケもよいようです。ただ、自分の国のことなので喜ばしい感じなのですが、何かしっくりきません。今回の Macef 全体にもついてくる変な感じも、払拭されません。これらの理由を私なりに考察してみました。

1 Asia の一員なのに、Asia館ではない位置にいる日本は、先行した固定イメージがヨーロッパの人々にある。それはハイテクの中に繊細な“和”の美的感覚を持ち、金持ちだ、というイメージだろう。しかし、これらのイメージは、それは西欧の人が表面上で捕らえたもので、多くのフィルターがかかっている。
2 中国のブースにおいてコピーが濫立し、その節操のなさとは裏腹に多くのブースを構えていたこと。さらに、今回できた Asia館も、きっと中国のためにあるようなものと思われること。このアンバラスさ。
3 Illy Ceffe で見られるように、お金を投資し人に先行イメージをつけること。Alfa Romeo のようにどこでも宣伝をすること。

先行イメージを人に与え、それをもって市場の流れを先導するという方法は以前からあったことでしょうが、このことは、今現在どちらの方向にデザインが向かってよいか迷っているように見えます。

日本的なイメージはすでに市場にたくさん出ており、次にどこへ向かうかを指示する指標として、Asia を持ってきたように見えます。しかし、現時点で中国が市場に出しているものは、数年前まで日本も言われていたオリジナリティーのなさのそのものです。この企画を立てた方は誰かわかりませんが、Asia 館は私から見れば2匹目のドジョウ的思考で行われたように見受けられます。

人は限りなく欲深く、新しいものを欲しつづけます。そんなことは当の昔からわかりきっている事柄ですが、ここらでちょっと引いてものを見たり考えたりする必要のある時期にきたのかな、と、今回の Macef を通して感じました。

私が一番最初から感じていた変な感触とはこのことなのでしょう。皆様はどうご覧になりました?


















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