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若手デザイナーによるこれらの作品を全体的に眺めていると、ある一つの共通事項が見えてくるように思えます。それは、シンプルにデザインをまとめ、機能が形を構成するような物においては、ほとんどの作品が3Dでモデリングをし、レンダリングしてビジュアルを見せる、というものです。
この方法をとる事によって優れたデザインも生み出せる、と言う事があるのかもしれませんが、何かその先にある“デザインの本質とは?”という事に対し、非常に考え方が薄っぺらいように感じてしまいました。ソフトを使えればできてしまう、というような事が、時代の求める物なのか、審査員の意志なのかは分かりませんが、そのような風潮があるように思えます。
これは最近の車などのデザインにも感じられる事です。それは、コストダウン化、高効率化のために3Dを使い、そのビジュアルで訴える事を重視し、何よりも生産性を重視している、という事につながっています。今の車のデザインが悪いと言う事ではありませんが、以前は(実際の)モデリングにより、目と手で幾度も3次元を確認し、何度も微調整をして、それこそ“感覚的に”デザインをしていた、と思います。
私は、3Dソフトによるデザイン云々という事よりも、なにかデザインとは、もっと繊細で微少な違いが、物そのもののイメージを大きく変えてしまう事のように思います。その微少の違いは、実際に見て触ってみて感じる物であり、そういう部分がおざなりになり易い3Dソフトでのデザインが、今回の若いデザイナーの多くを占めていたように感じました。
私自身も3Dソフトを使用してデザインを行いますが、改めてこれらの誘惑的な危険さを感じ、また有用性も感じました。私はこの先、デザインはもっと人に近い物に帰ってくる、とも思えます。
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